少しづつ涼しくなる季節や、ちょっとした空気の変化で咳が出たり、またその咳が長引いたり、中には呼吸困難を伴う場合もあります。いずれも風邪と関係している場合が多く、風邪は治まったのだが咳だけ残るものや、今まさに発熱していて咳き込む場合、中には「去年風邪を引いてから咳だけ治まらない」と、咳が慢性化している方も少なくありません。ひどい場合には喘息になる場合もあります。

漢方はり治療での見方

漢方では咳を「咳」「嗽」「喘」の3つに分けさらにこの3つを「寒」「熱」に分けます。「咳」は声だけで痰のでない咳のこと。「嗽」は咳き込みはひどくないが、咳と同時に痰が出るもの。「喘」は文字通り「あえぐ」と訓ずるから呼吸困難が主になっているものをさします。さらに、悪化の条件からも分類することができます。

治療

*温まると悪化→おそらく胸に熱を持っているため胸を触ると熱く、その熱で肺が乾燥して痰がながなかなか切れず、空咳が多く、また体が温まる夜中や、お風呂から出た後に咳き込みます。乾燥する時期に多くなるのもこの熱のせいです。当然口は渇き、のぼせやすく、赤ら顔で、食欲旺盛で便秘がちで、小便は濃くなります。治療はこの胸の熱を下げるように治療します。
*冷えで悪化→この冷えによる悪化の中にも、大きく分けて2種類あり、一つは、朝方や空気の冷たいときに咳き込みます。風邪で寒気があり、肺が敏感になっている時は少しの空気のよどみや、タバコの煙などですぐに咳き込んでしまいます。のどの痛みなども伴います。しかし治療は比較的単純で、風邪の治療をすれぱ咳も次第に治まります。もう一つは、全身の冷えが慢性化し肺の発散する作用が低下して肺が水浸しになり、咳、呼吸困難で、息苦しくなります。食後にのどが詰まった感じがして、手足は冷たく、小便回数は多くてあまり量は出ません。当然疲れやすくもなります。こうなったら治療は、徹底的に暖めるつぼを使って治療します。