40歳以上の30人に1人が緑内障だと推定されている。

どのような病気か

目の働きを正常に維持するためには、眼球に適度の張り(硬さ)が必要です。これを「眼圧」といい、この眼圧が高くなると視神経が圧迫されて、視野障害が起こる病気です。

緑内障のタイプ

眼圧を一定に保ち、眼に栄養を与える「房水」という透明な血液の流れが悪くなったり、排出が不充分になると眼圧が高くなるタイプと、眼圧が正常値(10~20㎜Hg)の範囲内でも視神経障害が起こるタイプがあります。正常眼圧緑内障の原因は、今のところよく分からないのが現状です。

症状は

眼圧の高さと視神経の強さとのバランスが崩れると、視神経の繊維が徐々に消失し、消失した部分の情報が脳に伝えられなくなるため、視野障害が起こります。視野障害は、視力の低下や電灯の周囲が虹のように見えたり、視野の中心部の周囲、特に鼻側から視野の狭窄が5~10年かけてゆっくり進行します。神経繊維は約120万本もあるため、多少障害されても、自分では視視野の異常に気づきにくいのです。ですから症状が気になりだす頃には、視神経全体の約70%まで障害されているケースがほとんどです。

緑内障になりやすい人

両親や兄弟が緑内障になった人や強度の近視や遠視がある人、もともと眼圧が高めの人、目の酷使による過労や高血圧による眼底出血がある人は、緑内障になりやすいため、注意が必要です。

漢方はり治療では

いったん障害された視神経を元に戻すことは、残念ながらできません。ですから、緑内障そのものを治すことは大変難しいのが現状です。したがって、定期検診などで早期発見に努めることが大切です。その際に緑内障と診断を受けたら、眼圧を下げて進行をストップさせることが最も大切です。はり・灸治療を眼科の治療と平行して行うと眼圧は安定しやすくなります。あるいは、眼科でも治りにくい緑内障が、はり・灸治療でよくなるケースが少なくありません。また、原因がはっきりせず、これと言った治療法がない正常眼圧緑内障にも効果的です。
ものを見る動作は、かなりのエネルギーが必要です。細かい作業やパソコンなどで疲労が蓄積することからも伺えます。東洋医学ではこのエネルギー源を「血」の働きととらえます。この血は、現代医学の血液よりも幅広い意味を持ち、この血によるエネルギー不足が目の疾患と密接に関係しています。この血を必要なところに適切に送り出せるように、血の循環を促進させるツボにはりとお灸を施します。また同時に、眼精疲労からくる肩こり、頭痛、のぼせ、イライラなどを解消することで、間接的に眼圧の安定を保つことが出来ます。
現代医学では、薬物療法により効果が得られない場合は、レーザーによる切開手術が行われます。誰しも手術は避けたいものです。漢方はり・灸治療による保存治療で、手術を避けることができるケースが少なくありません。