「代替医療」から「医療」へ

2018春に行われたWHO(世界保健機構)の会議で、鍼灸治療を含む中国伝統医術が正式に「医療」として認められるはこびとなりました。
それまで鍼灸は西洋医学の補助的医療として「代替医療」という位置づけで、ヨガ、アーユルベーダ、気功、アロマテラピー、カイロプラクティックなど、各種〇〇療法と言われるものと同様、西洋医学を補完する医療という位置づけでした。
しかし、この春、「漢方医学」と言われる「漢方薬」と「鍼灸」が正式に「医療」として認められることとなりました。
今までWHOでは、ヨーロッパを中心とした医療、生理学や解剖学と言った理論の裏付けができる医療という観点から、西洋医学のみを「医療」と認めてきましたが、アジアやアフリカなどを含めた情報格差のない統計を出すこと、また近年、「気」という曖昧な概念でしか説明できなかった漢方医学を科学的に説明する論文が増えたことを踏まえ、「漢方医学」も西洋医学に並ぶ「医療」である認識になってきました。
しかし、正式に「医療」として認められるためには国際的に統一した基準で定められた疾病分類である「国際疾病分類」(ICD)に、実際に行われている医療の報告を行わなければいけないなど、課題は多岐にわたっています。
「国際疾病分類」(ICD)とは1900(明治33)年に初めて国際会議で承認され、約10年ごとに改訂され現在は全22章から成る医療の世界基準です。
今後、多くの治験例報告が集まれば、「漢方医学」が新しい章として加わる予定です。
WHOに公式に認められれば、世界規模で漢方医学のさらなる研究が進み、鍼灸や漢方薬の有効性が細分化され、医師、薬剤師、鍼灸師から患者さんへ医療技術は大きく還元されると思われます。

清須市の鍼灸院で働く若先生より