顔面神経麻痺
「朝起きて、歯を磨こうと思うと、なんとなくいつもと違う」、「口をゆすさうと思うと水が口から飛び出してしまう。」慌てて鏡を見ると自分の顔がゆがんでいてびっくりする。このように、ある日突然発症します。古典医学では、顔面神経麻痺を「口眼窩斜」といいます。文字通り、口や眼がゆがむという意味です。顔面の、左右どちらかが麻痺し、麻痺した側が、健康側に引つ張られ、片目は大きく見開くようになります。程度の差こそあれ、これが典型的な顔面神経麻痺です。
原因の多くは「風」!!
昔は、電車やバスから顔を出して、長時間、風を当てていると、顔面神経麻痺になるというのが典型でした。今は、電車やバスも勝手に窓を開けられない為、このパターンも少なくなりました。代わりに多くなつたのが、エアコンによるものです。クーラーを直接当てながら寝てしまった場合などがその例です。もちろんその前に、仕事の疲れ、寝不足、肩凝り、高血圧なども間接的な原因となります。
治療
漢方はり治療では、「風には当たっていない!」という患者さんの場合でも、「風に当たったような状態」を想定しながら治療を進めます。つまり、長い間風に当たっていた為、顔の皮膚表面のみならず、その奥も乾かしてしまった状態を想定します。奥が乾いていますので、そこには熱を持ちます。この熱を、ハリを使って取り除きます。症状が激しけれぱ激しいほど、ハリは浅く、軽く刺します。また、間接的な原因となる、疲れ、肩凝りなども同時に治療します。ハリは経絡の気の流れの調整ですので、痛みを感じることはありません。最後に残った熱をお灸で取り除きます。当然、お顔ですので、火傷を起こすことは一切ありません。
顔面神経麻庫は、発病してからの早期治療が治り具合のカギとなります。また逆に古いものでは治りにくい為、根気に治療をしなけれぱなりません。この他間接的な原因に高血圧や糖尿病などがからむ場合も根気の治療が必要です。