原因

カゼは、人間が多くかかる病気で、その90%近くはウイルスによる感染です。かぜの原因となるウイルスには、細かく分けると約200種類、大きく分けても10種類ほどあります。それらのウイルスには、流行しやすい季節や特徴的な症状があります。これからの時期に多いものは「インフルエンザウイルス」「ライノウイルス」などで、これらのウイルスに感染して、鼻やのどなどの呼吸器や胃腸に炎症が起こります。

漢方診断

漢方では、気・血・水(身体の構成要素)が正常なら「正気」(抵抗力)が充実し、病邪(病気の原因)に勝ち、健康が維持されるとしています。逆に、正気が不足していると病邪は侵入してきます。
かぜを治療する際には、まず陽証と陰証の2つに大別します。陰陽とは、東洋医学の基本的な概念で、人間の活動力などを2つに分けたものです。陽証のかぜは、熱が出て熱くなり、頭痛、激しい咳、のどの痛み、関節痛、汗が出ないなどの症状が出ます。陰証のかぜは、実際の体温は上昇しているのですが、寒気が強くガタガタふるえ、手足が冷え、青白い顔をして、ぐったりしているなどの症状が現れます。これらの症状を瞬時に診断し、体質に合わせて、熱証の場合は、発汗し病邪を追い出し解熱させるツボに、寒証の場合は、正気を充実させ体を温め、病邪への抵抗力を高めるツボにハリとお灸をしていきます。
漢方では、ウイルスに感染するのは、体に不調がある状態であるととらえます。ハリとお灸をすることで、体の不調が改善されればウイルスも逃げてしまうと考えます。

カゼは万病のもと

「カゼは、万病のもと」とよく言われますが、この言葉の出典を探っていくと、中国医学の原点とも言われる、「黄帝内経」という書物に「かぜは百病の長なり」という一節に行き着きます。かぜによってさまざまな病気が引き起こされるというのが本来の意味です。