肋間神経痛とは

肋間神経痛とは背中や体の側面のどちらかに突然痛みが走る神経痛の一種です。痛み方はチクチクと針で刺された様な痛みや、ドーンと中を圧迫されるような痛みで、咳や深呼吸をしたりすると痛みが増します。痛み方は「言葉で表現するのは難しい」とよく言われます。
基本的には体の片側が痛みますが、右なのか左なのかは人それぞれであり固定ではありません。特に左の胸にかけて痛みがある場合では「心臓が悪いのではないか」と心配される方も多くみえます。ただし、胸の締め付け感、圧迫感、胸やけ、経験した事のない重苦しさなどがあり、左肩や腕に放散する痛みがあれば、狭心症や心筋梗塞を疑います。以上のような強烈な痛みではなく、肋骨に沿って痛みが現れる場合は肋間神経痛がほとんどです。

原因は何?

筋肉のコリによる神経の通過障害

背骨には神経が束となって走っています。この背骨の中を走る神経が肋骨の下に沿って出て来て、体幹部分の知覚神経は運動神経を働かせています。しかし、その神経が、何らかの原因によって圧迫されると、神経は通過障害を起こしてしまい痛みを引き起こします。神経圧迫を起こす原因の多くは背骨を取り巻く筋肉のコリ、肋骨周りの筋肉のコリです。骨折による神経圧迫や脱臼による神経圧迫の場合もありますが、この様な場合は骨折や脱臼をしている箇所を触ると激痛が走りますので判断はしやすいです。多くは、肩や首のコリ、肩甲骨間部のコリが影響します。

内臓の異常からくるもの

あまり知られていないのですが、肋間神経痛には内臓の異常からくるものもあります。この内臓の異常による肋間神経痛は、暴飲暴食などで内臓が疲れると出てきます。飲み会の後や、暴飲暴食をした後に一過性に現れる肋間神経痛は内臓が疲れる事によって出てくる肋間神経痛です。一過性の為、検査で異常が見られない事が多いのですが、検査で異常がある場合は肋間神経痛ばかりでなく内臓の方にも注意が必要です。

帯状疱疹によるもの

帯状疱疹の後遺症による肋間神経痛です。帯状疱疹とはヘルペスウィルスの感染によるものですが、ヘルペスウィルスは水疱瘡のウィルスなので、ほとんどの成人が保有するウィルスです。カゼを引いた後や大きな病気をした後など、免疫力が低下した時に神経に侵入しウィルス感染を起こし、その神経の支配する皮膚組織に水疱瘡と同じ赤い湿疹が現れます。帯状疱疹を発症したあと約10%の方に後遺症が残ると言われています。帯状疱疹は肋間にできやすいため、帯状疱疹後神経痛と、肋間神経痛はしばしば同様に扱われる事があります。

漢方はり治療では

漢方はり治療では、症状を「寒」と「熱」に分類し考察します。この肋間神経痛も患部に冷えを持ったものと熱を持ったものとに分類し、治療法を分けています。

「寒」によるもの

寒によるものでは、元々きゃしゃな体質で寒がりの人が、体幹部、胸が冷えるために発症するタイプと、体幹、胸の中には熱はあるものの、皮膚表面だけ冷えてしまい発症するものとがあります。実際に患部を触ると冷たく冷えています。
元々きゃしゃで寒がりな人が肉体労働で汗をかいた後や、クーラーのよくきいた部屋で事務職などをした後に発症する事があります。反対に、寒さに強く、体幹や胸に熱がこもっているとクーラーや冷飲食などで冷やしたくなるものです。しかし、冷やし過ぎると肋間の神経が通過障害を起こし、神経痛が発症します。

「熱」によるもの

熱によるものでは、実際に患部を触ると熱くなっている場合があります。人間は熱くなると発汗して解熱しますが、熱くなっても発汗しないままでいると肋間の神経がオーバーヒートを起こし、神経痛が発症します。
治療はどちらも血行を回復させるようにします。「寒」によるものは血行不足です。「熱」によるものは血行過多です。血行を回復させる事により冷えている物は温まり、熱を持った物は冷えるのです。