「眠い」と言う症状

当院でも「眠れない」と訴える方は多く来院されますが、「眠い」と訴えて来院される方はまずいません。
しかし、良くお話を伺うと、「ねむ過ぎて困る」と言う方は意外と多くみえます。
世間的には「眠れて良いね」とか、「幸せだね」などと言われてしまい、本人としても「症状」と言う自覚は有りませんが、ねむ過ぎるのも立派な症状なのです。

眠りの質

 「眠い」と言っても、状態は様々で、「寝付きが悪い(入眠障害)」、「夜中に目が覚めてしまう(中途覚醒)」、「朝早くに目が覚めてしまう(早朝覚醒)」など、眠りの質に問題がある方と、「夜更かししている訳でもないのに眠い!」、「仕事中でも居眠りしてしまう」、「やりたい事があっても眠気があってできない」など、十分な睡眠を取っているにもかかわらず眠さを我慢できず、仕事や生活に影響してしまう事も有ります。
今回は「十分な睡眠をとっているにもかかわらず眠い」と言う症状を考察します。

病的に眠い!

十分な睡眠を取っているにもかかわらず、「朝起きる事ができない」、「日中や食後に猛烈な睡気がある」など、寝てはいけない所で猛烈な眠気に襲われてしまい、必死に睡魔と闘い、それがストレスになってしまっている方は沢山います。
特に、事務職の方では人前で居眠りをする訳にも行かず、睡魔と闘いながら仕事をしている状態です。
これでは仕事の効率も上がらずミスも多くなりますし、楽な状態とは言えません。
また、眠気を我慢している姿は「夜更かししている」「不摂生」「怠けている」ようにも見えてしまい、本人のストレスにもなってしまいます。
中には「脳の異常ではないのか?」と疑ってみえる方もいます。

異常な眠気の分類

医学的には「異常な眠気」を嗜眠(しみん)と言います。
嗜眠とは、意識 障害(意識混濁)の程度のひとつと分類されています。
昏眠ともいわれます。 放っておくと眠ってしまい、強い刺激を与えないと覚醒し反応しない状態です。
嗜眠は以下のような原因で引き起こされる。
・睡眠時間が極端に短い場合
・薬剤(精神安定剤・睡眠剤・抗ヒスタミン剤)などを服用している場合
・睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群・発作性睡眠)
・外傷、中毒、脳血管障害、脳炎、代謝障害、脳腫瘍などの疾患
なお、嗜眠より軽度な症状には、昏蒙や傾眠があります。
また、症状が 悪化すると、昏眠、昏睡と言います。

漢方はり治療では

漢方医学では血流のアンバランスが睡眠に影響すると考えています。
血流が活発な方は体を十分に働かせる事ができますし、血流が多すぎると、体を休ませたい時に血流が邪魔をして体が休んでくれません。
反対に、血流が安定していると体を十分に休ませる事が出来ますし、血流が不足すると充分に体を働かせる事が出来ません。
人間は、朝になると頭や目に血流が集まり眠りから覚め、動き出す事によって手足が温まります。
反対に眠くなると血流は内臓に集まり、消化吸収を活発にし休息を促します。
その為、食後などは内臓に血液が集まり、頭の血流が不足しねむくなるのです。

治療

治療は主に血流の改善になります。
血流の改善には大きく分けて次の2つのパターンが挙げられます。

血流のアンバランス

血液の生成は足りているものの、血流の配分が悪い方です。
どこかの炎症(潰瘍などの内臓疾患・リウマチなどの関節痛・筋腫などの婦人科疾患)や、大病の回復に血流を消耗し、頭や目に血流が行かず眠くなります。
治療は基礎となる疾患の改善や病の回復に重点を置きます。

血液の生成不足

胃腸の冷えや疲労、体質的な胃腸虚弱で消化吸収が弱くなると、血液の生成が追いつかず、血流が悪くなり眠くなります。
寝起きが悪く低血圧傾向の方に良く見られます。
治療は胃腸への血流を増やし消化吸収をよくするツボに鍼をし血流の生成を促します。

睡眠時間

睡眠時間には個人差があり、5時間程度で充分な方と、長く寝ないと睡眠が足りない方がいます。
人間は寝ている間に血液を生成し、起きていると血液を消耗してしまいます。
貧血傾向で血液の生成不足の方は長く寝ないと血液の生成が追いつきません。
昼間の眠気を改善するためにも、できるだけ長く寝るように心がけてください。
反対に、慢性的な寝不足は血流不足を引き起こし、血流の不足から、食欲の低下、婦人科の乱れなどを引き起こし、情緒不安に陥る事があるので要注意です。

清須市の鍼灸院で働く若先生より