低音性難聴とは

低音性難聴は「低音障害型感音難聴」、「急性低音障害型感音難聴」、「急性低音障害」など、色々な病名が付けられています。  低音性難聴は、以下の様な症状があります。
•耳が詰まった感じがする(耳閉感)
•自分の声が響くようになる
•低い音が急に聞こえにくくなる
•低い音の耳鳴りがする
•一度治っても繰り返しやすい
耳が詰まった様な感じは「トンネルに入った時」 「新幹線などに乗った時」、「耳に水が詰まった時」 に感じるものと同じような感じです。
耳が詰まった感じになるので、自分の声だけが良く聞こえるようになります。 外からの音は聞こえづらく、耳が詰まる事から低い音が聞こえづらく感じたり、低い音の耳鳴りが常に鳴っている様な感じになります。
そして何より困るのが、何度も繰り返すことです。一日の内でも症状が出たり治ったりしますし、1週間続いたら、1週間治って、またなって・・・と、症状が不規則に繰り返します。
耳の病は時間が経つと改善が見込めない事がありますので、聴力の急激な低下や、めまいを伴う場合は一度耳鼻科を受診することをお勧めします。

耳鼻科での見解

低音性難聴は内耳で起こる「感音難聴」に分類されます。感音難聴は、蝸牛のなかにリンパ液がたまり過ぎて、神経伝達がうまくいかないことで起こります。
 蝸牛にリンパ液がたまりすぎる原因は、はっきりと分かっていません。
しかし、原因は不明でも、リンパ液がたまり過ぎることで神経伝達がうまくいかなくなることは分かっているので、リンパ液を排出する薬などが処方されます。

漢方はり治療では

 漢方医学では体の全体の循環を重視します。そのため、耳に症状が出る原因を全身を見ながら考えます。
低音性難聴は現代医学的には蝸牛管にリンパ液が充満することによっておこりますが、蝸牛管にリンパ液が充満するということは、体全体としては、のぼせているということになります。
つまり、頭に熱が多くなると頭の中では物質の質量が高まるということです。
実際に低音性難聴の方の後頭部を触ると、のぼせて熱を持っていることが多いです。
熱がこもるということはそれだけ質量が増します。
密閉された瓶に冷たい水を入れるのと、熱いお湯を入れるのでは容器内の圧力はお湯の方が高まります。つまり、蝸牛管と言う密閉された容器の中で熱いリンパ液が充満することで蝸牛管に対する負担が増え耳が詰まったような状態になるのです。
ではなぜのぼせた状態になるのか?
全体を通して言えばます血行不良が考えられます。
血流の循環が悪いため、胸から上の上半身にだけ血流が溜まってしまいのぼせやすくなるのです。
反対に手足の循環が悪いため、お臍から下の下半身や手足末端は冷えやすくなります。
血流の溜まってしまうところは熱を持ち、血流の悪い所が極端に冷え、「暑がりで寒がり」になってしまうのです。
そのため、低音性難聴の方は熱を持つ上半身では、肩こり、頭痛、動悸、息切れ、喉のつまり感、口の乾き、眼の渇きなど、上半身に熱を持つことによっておこる症状が少なからずあります。
反対に、少し寒い所にいると手足末端が冷え、下腹痛、下痢、腰痛、生理痛など冷えることによっておこる症状が出てきます。

治療

 治療は、上半身に溜まった血流を手足末端に引くように、手足のツボを使い、鍼をします。
上半身に溜まった血流が手足に行きわたることにより、肩頚、後頭部は涼しくなり、下半身、手足末端が温まります。そのため、良くなる時は、低音性難聴だけではなく、肩こり、頭痛、動悸、喉のつまり感、口の乾きなどの上半身の熱による症状と、手足の冷えなどによる症状が一度に改善します。

再発予防に

 低音性難聴の特徴として、何度も再発すると心にあります。
低音性難聴は現代医学的には耳鼻科の範囲に入りますが、漢方医学的には血流のバランスが悪いことから起きる一つの症状と考えています。
 そのため、耳だけにアプローチしても再発を繰り返すのです。
インターネットで「低音性難聴」を検索すると、原因に「ストレス・疲労・運動不足・睡眠不足」などと書かれていますが、これらはすべてのぼせを引き起こすのです。
ストレスが重なると緊張状態から手足が冷えのぼせやすくなります。
疲労・運動不足・睡眠不足から、体が疲れることによりのぼせるのです。
この状態が長期化すればストレスへと変わっていくのです。
20~40代の女性に多いことから、貧血傾向、低血圧傾向の方が、出産、子育て、生理不順など、婦人科に関わる症状が重なると発症する確率も増えるのです。
これらは血流を良くすることで十分改善できます。血流を良くすることで疲れにくいストレスに強い体調を保つことが再発予防には優先なのです。

清須市の鍼灸院で働く若先生より