漢方医学では性格や体質を合わせたものを『素因』と言います。素因の中にもいくつか項目はあるのですが、その中でも性格を表す項目に「怒・笑・思・悲・恐」の5つあります。それぞれに長所と短所があり、「怒」で言えば、そのまま「怒り」と呼んでしまうと、「いつもイライラしている人」を想像しがちですが、「怒」の中には、「闘争本能」とか、「猛々しさ」という要素もあり、「怒」の性格の人がスポーツをすると、素晴らしい記録を残したりもします。他の4つの性格もそれぞれ長所と短所があり、発揮の仕方によっては人生を有意義なものにもします。「笑」は、上手く発揮されれば「朗らか」であり、一歩間違うと気がふれた状態です。「思」は思慮深い状態の時と、思い悩んだうつ状態、「悲」は慈悲深い状態と、悲哀に満ちた状態、「恐」は用心深く物事を慎重に進める状態と、心配性な状態です。このように性格には、見る角度によってそれぞれ長所と短所があるのです。「よく気がつく」と言うと長所ですが、「おせっかい」と言うと短所です。物の見方でずいぶん違ってくるものです。