うつ病について数回にわたり説明させていただいています。
今回は閉経前の女性特有のうつ症状について説明させていただきます。

☆定期的にムラがあるのが特徴
「気分にムラがある」「何もしていないのに疲れを感じる」「感情の起伏が激しくなる」など、何の前触れもなく、急に気分が落ち着かなくなったり、イライラしたり、落ち込んだり、不安になったり、など、気分や体調に起伏が激しくなる事はありませんか?
女性の8割はこのようなことを経験したことがあるそうです。
なぜ女性は、気分や体調にムラが多く現れるかと言うと、これは女性特有のホルモンバランスによるものなのです。

☆こんな人も要注意!
生理前になると「イライラしやすい」など、生理周期と関係して気分に変動がある方は「生理だから!」と原因に思い当たる節があるかもしれませんが、生理も関係ないのに気分や体調にムラがある方も見えます。こういった方の中にも、気分のムラや体調のムラが定期的にある方も見えます。
そのような場合も、もしかしたら高温期、排卵期など生理と関係した不調なのかもしれません。
「そういえば先月も同じようなことがあったな〜!」と言う場合は要注意です。

☆生理と気分の変化について
漢方医学では感情を「怒・笑・思・悲・恐」の5つに分けています。この内、生理周期と関係がある感情は「怒・思・悲・恐」の4つです。
①怒
些細なことでイライラしてしまうのがこのタイプです。 生理前や生理中など、子宮に血液が多く集まると体全体では貧血状態を起こし、手足は冷え、上半身に血液が集まるようになります。上半身に血液が詰まると胸に熱がこもり、些細なことでもイライラするような体調になります。
②思
「どうしてあんなこと言うんだろう?」「なんであんなことするんだろう?」と、「どうして?」「なぜ?」が頭の中を駆け巡り、答えの出ないことを延々と深く考えてしまうのがこのタイプです。
もともと胃腸が繊細で、食欲にムラが有るのですが、体調が悪くなるとネガティブなことを深く考え、さらに胃腸症状を悪化させます。
③悲
漢字では「悲」ですが、実際には体調が悪くなると、物事を否定的に捉えてしまうのがこのタイプです。
そのため日常会話でも愚痴が多くなりがちです。体調が悪くなると胸に熱がこもりやすくなるため、溜まった熱い空気を吐き出すため、ため息が多くなります。
④恐
漠然とした不安や、何気ない日常でも不安感が押し寄せてくるなど、理屈ではわかっていても体が勝手に緊張してしまうのがこのタイプです。
生理中や高温期などで胸に熱がこもると、心臓周辺にも熱がこもり、動悸や息苦しさを感じます。

☆漢方はり治療では
①の「怒」のタイプの方
胸に血流が滞り、熱がこもってしまうのでイライラしてしまうのです。
胸にこもった血流を、手先、足先に引いてあげると胸に溜まった余分な熱がなくなり、胸のつかえがとれスッキリしてイライラしなくなります。
②の「思」のタイプの方
胃腸が繊細でスタミナがなく、疲れやすいのが特徴です。
消化吸収機能を高め持久力を上げ、疲れにくくすると思考もポジティブになります。
③の「悲」のタイプの方
発散、発汗が苦手な方が多いです。そのため、体調不良やストレスでむくみやすくもなります。発散、発汗、排尿を促すことで、熱と一緒に水分も循環し鬱屈した気分もお治まります。
④「恐」のタイプの方
のぼせやすいため胸の奥深くに熱がこもってしまいます。胸の奥深くに熱がこもると、心臓が熱を受け、無意味にドキドキしてしまいます。ドキドキするとさらに熱がこもり、次第に不安感が増します。上半身にこもった血流を下半身に引くことにより症状を改善することができます。