リストカット・自傷行為について
◇リストカット(リスカ)とは?
リストカットとは自傷行為の1つで、自分の体(手首=リスト)に刃物で傷をつけてしまう行為のことをいいます。
自傷行為には、リストカット以外にも、タバコの火を自分に押し付けたり、頭を激しく打ち付けたり、自分の手を噛んだり、髪の毛をむしったりすることもあります。
感情が高まり「拳で壁を打ちつけ続ける」と言うのも自傷行為の一つにあたり、過度なピアス、繰り返すタトゥーなども自傷行為の置き換えのことが有ります。
◇リストカットする原因は何?
リストカットは様々なやり場のない感情を紛らわせるための行為で、行き場のない苦痛を沈めるために行われることが最も多いと言われています。
最初は必ずしも「死にたい」と言う願望があって行われるわけではありませんが、リストカットがエスカレートすると自殺へ発展しやすくなる傾向があります。
きっかけは身近で表面的なものも多く有るのですが、過去のトラウマや虐待、暴力、心の傷が隠れている場合が多くあります。
やり場のない苦痛を紛らわせるための孤独の対処法であるともいえます。
日常の生活で、常に否定され、兄弟や友達と比較されたり、虐待や暴力を日常的に受けたりすると「自分には存在する価値がない!」と言う思いが強くなっていきます。
また反対に、親が自分のことで精一杯で子供に関心を払わない状態が続いても、孤独感から自分の存在価値を見失い、自傷行為に発展するケースもあります。
リストカットや、自傷行為を繰り返すと、飲酒、喫煙、拒食や過食、鎮静
剤、精神安定剤を過剰に摂取するなど、自虐的な危険な行動を重ねや
すくなります。
リストカットや自傷行為を繰り返す方は若い方が多く、クラスメートや家族といった特定の人とだけの関わり、ネット環境などの実態のない関わり、社会経験不足から、「心の視野」が極端に狭くなっていることもあります。
その為、一度思い込んでしまうと、その思考から抜け出しにくくなり、誰にも本音が言えなくなり「助けて」が言えなくなるのです。
【漢方的考察】
過度の不安や緊張、怒りや悲しみなどを経験すると体の中では血流の偏在が起こります。
緊張や不安、怒りが過ぎると呼吸が速くなり動悸が起こります。心臓はバクバクし、呼吸は浅く、短くなるのです。
この状態が慢性化すると胸・肩・首・頭に熱がこもるようになります。
心臓がバクバクするような動悸を繰り返せば、心臓に血液が多く集まるため、上半身の胸・肩には熱がこもり熱くなってきます。さらに呼吸が荒いと上半身を熱くします。
胸に熱がこもっているため、ため息も多くなります。ため息は肺に溜まった熱い空気を外に出そうとしているのです。 胸に溜まった熱い空気を「ふ〜」と吐き出して、冷たい空気を胸いっぱい吸い込むと、気持ちが良いのです。
さらに、熱がこもると胸がモヤモヤし鬱々としてきます。
いわゆる「胸くそ悪くなる」なるのです。
大声で叫びたくなります。周りの物をめちゃくちゃに壊して暴れたくなります。しかし、それができない、やれないと胸のもやもやはさらに倍増していきます。
(暴れる事は発散、発汗につながり、胸の熱が収まります。そのためスポーツや芸術活動などは発散を促します。)
またネガティブな思考で頭をフル回転させていると頭に血液が溜まり頭が熱くなります。血液は使うところに多く集まるため、過度のネガティブ思考は頭に熱がこもるのです。
頭に血液が多く集まり熱がこもる事によって頭痛、頭重、集中力の低下が起きるようになります。
<当院の鍼灸治療では>
鍼灸治療ではこの上半身に溜まった血液を、手先、足先に引くように手足のツボを使い治療します。血流を循環させ、胸の熱、頭の熱を循環させるのです。
胸から熱がなくなると鬱々としていた気分が晴れやかになりすがすがしくなります。頭から熱がなくなると思考がハッキリします。
これはすべて体調です。
漢方医学は「心身一如」の上に成り立っています。
体に余裕ができると心にも余裕が生まれます。
気分がよくなると自然に食欲が増してきます。健全な食欲からおいしいもの、好きなものを食べることも発散につながります。そこから健全な睡眠が生まれ翌朝の快便へとつなげることができると体には余裕が生まれ、心にも余裕が広がり抑うつから解放されるのです。