清洲鍼灸治療院の考える疾病観について

なぜ病気になるのか?

漢方医学には「内傷なければ外邪いらず」と言う言葉があります。
「内傷」とは大雑把に言えば「心の乱れ」です。
心の乱れは「喜・怒・思・憂・悲・恐・驚」の7つに分類することができます。
「外邪」とは自然気候の偏りで「風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪(熱邪)」の6つに分類することができます。
心に偏りがなく、自然に則した生活をしていれば病気にならないが、心が乱れ、自然に逆らった生活をしていると病気になりやすいと言う事です。

自然に則した生活とは

現代社会は衣食住の環境が整い、暑い夏は涼しく、寒い冬は暖かく過ごす事が出来るようになってきました。
しかし、暑い夏を涼しいところで過ごしていると、夏の暑さに対抗できず夏バテになってしまったり、寒い冬に屋内ばかりに居ると風邪をひきやすくなります。
暑さ、寒さを適度に受け入れながら、自然環境と順応した生活をする事が大切です。

本当に「バカはカゼ引かない」のか・・・

昔から「バカはカゼ引かない」と言いますが、何かに夢中になっている時は、案外病気をしないものです。
目標に向かって何かを集中してやっている時は、きっと心が充実しているんでしょう。
仕事をバリバリこなしている時や、趣味に夢中になっている時は、多少の困難も楽しく乗り越えられるものです。
反対に、やりたくない仕事、充実していない私生活では心も乱れ、簡単に病気になってしまうかもしれません。

疲れはたまるもの・・・

とは言っても、毎日同じ作業の繰り返しをしていると、肉体的な疲れはたまるものです。
若い頃は一晩寝れば取れた疲れもだんだん取れ難くなるのが普通です。
大工さんなど重いものを持つ方の腰痛、パソコンや事務仕事からくる肩こり、頭痛、目の疲れなど、毎日同じ作業を繰り返していれば疲れがたまって当然です。
ケアをして「治す」と言うよりも、ケアをして「リセットする」と言う考え方のほうが大切になってきます。

ストレスとは何?

「内傷」を簡単に言えば、「心の乱れ」です。今風に言えば「ストレス」 です。
しかし、ストレスは誰もが抱えているのが現状です。
長時間のパソ コン作業は誰もがストレスになるでしょう。
気が合わない人とのお付き合 いは誰でも苦痛です。
しかし、キーボードを押すたびにお金が入ってきた り、気が合わない人から「いつもありがとう」と言われるだけでストレス とは感じなくなるかもしれません。
つまり、心の持ちよう次第でストレスはコントロールできるのかもしれません。

豊かになればなるほどストレスは増える?

しかし、ストレスは次から次へと現れ、無くならないのも現実です。生活が豊かであっても、今度は豊かでなくなる不安に駆られます。
一度手にしたものを失うほどストレスはありません。
生活が豊かでないとは言うものの、「明日食べるものが無い」、「住む家が無い」と言う状態から、「贅沢がまったくできない」と言う状態と、どこと比べるかで話は別です。
現実問題として、日本が「働けば働くほど生活が豊かになっていた時代」とは違うのです。
自分に合った働き方、生活スタイルを見つけられれば一番幸せかもしれません。

大きな病気になってしまったら!

現代医学は目覚ましい発展を遂げ、日本は長寿大国になる事が出来 ました。
しかし、医学が発達しても治せない病気もたくさんあります。
現状では、早期発見、早期治療、日ごろのケアが一番大切です。
しかし、 予期せぬ病気や怪我も人生にはある事です。病気やけがを受け入れる にはいくつもの葛藤がある事でしょう。
漢方医学はバランスの医学です。残っている機能を最大限に行かせるようバランスを取り、少しでも快適に暮らせるようサポートさせていただきます。

バランスが大事!

漢方医学には「治未病(ちみびょう・未だ病まざるを治す)」という原則があります。
漢方医学は西洋医学の様に、病気になった箇所だけを見て、そこだけを治せば良いというものではないのです。
筋肉と内臓のバランス、上半身と下半身のバランス、血行のバランス、水分代謝のバランスを見て治療します。
そして、病気を治し再び病気にならない事を考えながら継続してケアをする医学なのです。
バランスは「中庸」です。中庸とは、「過不足なく偏りのない状態」です。
たとえ健康であっても、体力のある人は無理をする傾向にあります。
胃腸が丈夫な人は暴飲暴食になる傾向があります。また生活面においても、「働き過ぎ」と「働かなさ過ぎ」、「遊び過ぎ」と「遊ばなさ過ぎ」など、バランスが大切です。
疲れがたまったら休憩する。
ストレスがたまったら発散する。
暴飲暴食の後は粗食にするなど、健康面だけにとどまらず、「余裕があれば施しなさい」という教えにもつながってきます。
「健康とは何か」を突き詰めていくと、「幸福とは何か」に繋がっているかもしれません。

清須市の鍼灸院で働く若先生より