逆流性胃炎
どんな病気?
食道は口から入れた食物を、胃に送るための管で、通常一方通行です。
食道と胃の間は括約筋という筋肉によって、通常は閉じられていますが、食物を飲み込んだ際に開いて、食物を胃に送り込みます。
胃では、酸性度の強い胃酸と消化酵素が含まれる胃液が分泌されています。
胃液は食物を分解し、おかゆ程度の固さにすることで小腸で吸収しやすい状態にします。
胃には酸から粘膜を守る防御機能が働いています。
しかし食道にはこの防御機能がないため、胃酸が食道に逆流してしまうと、食道粘膜は強い酸である胃酸により炎症を起こします。
胃から食道への逆流が繰り返し起こると、食道の粘膜にただれや潰瘍が生じ、胸やけや呑酸などの不快な症状が起こります。
これが「逆流性食道炎」です。
逆流性食道炎の治療で使われる薬は、大きく分けると、「胃酸の分泌を抑える薬」「胃酸を中和する薬」「食道の粘膜を保護する薬」「食道の運動を活発にする薬」があります。
しかし、これらの薬で症状が治まらないものは、漢方薬なども併用していく場合があります。
漢方的病理
漢方での診断は大きく分けて3つのタイプに分類します。
1、ストレスによる胃炎タイプ
このタイプの主な症状は、喉のつかえや食道部の違和感、胃炎、吐き気などが起こります。
ストレスによる緊張感やイライラ、抑うつ状態により抵抗力が低下しています。
日ごろから顔色が悪いとよく言われる人、体力がない人などがこのタイプに当てはまりす。
鍼きゅう治療では、冷えを改善して自律神経を整えます。
脾経や胃経という経絡を用いて胃腸の働きを助けていきます。
2、冷えによる胃弱タイプ
このタイプの主な症状は、胃炎や胃痛、食欲不振、消化不良、嘔吐などが起こります。
もともと胃腸の働きが弱く、胃部辺りがチャポチャポと水分が停滞しやすいのも特徴です。
疲れやすかったり、貧血、冷え性の人などがこのタイプに当てはまります。
鍼きゅう治療では、冷えを改善して水分の吸収や循環を促します。脾経や胃経という経絡を用いて胃腸を温めていきます。
3、熱による胃炎タイプ
このタイプの主な症状は、胃腸炎やみぞおちあたりのつかえ、胸やけ、吐き気、げっぷなどが起こります。
もともと胃腸が丈夫で食べ過ぎる傾向にあります。汗をよくかく人やほてりの強い人で比較的体力のある人がこのタイプに当てはまります。
鍼きゅう治療では、からだのほてりやのぼせといった熱を鎮めて胃腸の働きを抑制します。
胃経という経絡を用いて、胃の熱による炎症を抑えていきます。
漢方の診察では下記の4つの診察が行われます。
望診 顔や皮膚の色、体格、舌の状態を診察(舌診といいます)。
聞診 呼吸や咳の状態、体臭を診ます。
問診 病歴や自覚症状を確認します。
切診 手首に触れ脈動を診る「脈診」と腹部の状態を診る「腹診」があります。
特に重視されるのが脈診、腹診、舌診です。