花粉症
花粉症に対しては、点鼻薬や抗アレルギー薬などの対処療法はあるものの、まだまだ根本治療には至っていないのが実情です。
鼻水たらたら!
毎年、ある一定の季節になると、「鼻水が出て止まらない!」、「鼻が詰まって頭がボーっとする!」「眼が痒くてしょうがない!」と言った症状を表す人がいます。
たいていご自分が「何アレノレギー」かを知っているのですが、それが、スギであっても、ヒノキであっても、稲であっても、期間限定で、最悪な状態が続きます。
しかも「一度なると治ることが無い!」という噂まであるので大変!
漢方はり治療での考え方
花粉症になると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、が代表的な症状として現れます。
また、人によっては、皮膚のかゆみ、喘息、のどの痛み、だるさなどを引き起こします。
これらは、漢方的に分類すると「陽明病」という症状に分類されます。
「陽明病」とは
漢方医学では体を「太陽・陽明・少陽・少陰・太陰・厥陰」の6つの深さに分類し、「陽明」は2番目に浅い部分を指しています。
具体的には、皮膚の下、筋肉より上の部分で、「肌肉」とも表現され、粘膜や皮下脂肪、また、消化器系の胃や大腸を指します。
花粉症の症状が現れる、鼻粘膜、結膜、喉などは、全て「陽明」の支配部位に分類されます。
鼻粘膜、結膜、喉は、下にさがると、そのまま胃、大腸に直結しています。
つまり、漢方医学的には鼻粘膜、結膜、喉は、それぞれ役割はありますが、同じ組織と考えているのです。
花粉症でなくても「ラーメンを食べると鼻水が出る」、「ワサビが多いと涙が出る」など、胃、大腸は鼻粘膜、結膜、喉と密接に関わっているのです。
漢方はり治療での分類
漢方はり治療では、症状を「寒」と「熱」に分類して考 えます。
そして色々ある病症の中でも、この花粉症は「寒 熱」が密接に関わっていると考えています。
大まかに言えば、花粉症は「寒」に分類されます。「く しゃみ」や「鼻水」と言った症状は、体が冷えた時に現れる症状です。
体が冷えると「くしゃみ、鼻水」はまず最初に現れる症状です。
その証拠に、花粉症の方は、冷え症で低体温、低血圧の方が多いです。
そのため、花粉症は体が冷えていると発症しやすいという特徴があります。
しかし、人間は冷えたままでは都合が悪いので、冷えを追い出そうとして熱を持つようになります。
熱は主に、胸から上の上半身に持ち、のぼせた状態になります。
冷えを感じない花粉症の方に、体を冷やし過ぎて花粉症の症状が現れている方がいます。
元々暑がりのため、クーラーや冷飲食を好み、体を冷やしたいタイプの方がいます。
体は熱いのですが、足先は触ると冷えています。男性や若い方の花粉症に多いタイプです。
つまり、健康な状態は「頭寒足熱」と言われますが、それとは反対に、手足は冷え、頭は熱い「頭熱足寒」と言う状態になるのです。
頭に熱を持つとのぼせる為、鼻粘膜は充血し、「鼻が詰まる」「鼻が詰まって頭がボーとする」と言う症状が主になります。
また、「目のかゆみ」ものぼせによる症状です。
「痒い」と言う事は、組織が部分的に熱を持っている証拠です。
組織が充血し、血液が集まり、触ると熱感を感じます。掻けば掻くほど組織は充血し、症状は悪化します。
のぼせて充血し熱を持っているところに「アレルゲン」と言う異物が侵入することによって「炎症」を引き起こし易くなっているのです。
治療
治療はまず、体全体の調整から始まります。
脈を診ながら問診し、熱の停滞を起こしてしまった原因を探り、体が四季に適応できるような状態にします。
体が冷えて花粉症の症状を表している方は血行を良くし、体を温め、循環の良い体調づくりを目指します。
体に熱がこもっている方は、主に胃、大腸などの消化器系に熱がこもるため、胃、大腸の循環を良くするように調整をします。
本人はあまり苦にしていなくても、消化器系に症状がある事は多く、胸やけやゲップ、口内炎、便秘、唇が荒れるなどの症状は、すべて消化器系の熱による症状を持って見える事は良くあります。
もちろん暴飲暴食も消化器系に熱を持つ原因になります。
治療はハリで、経絡の気の流れを調節し、熱の滞りを少なくします。
残った熱は、直接鼻に通じる経絡にハリをし、取り去ります。
ハリは、気の流れの調節ですので、深くは刺しません。もちろん痛みもありません。
最後に、お灸で、残った熱感を取っておしまいです。この場合のお灸も、熱くなる前に取るお灸ですので、火傷は一切残りません。
清須市の鍼灸院で働く若先生より