帯状疱疹ヘルペスとは

帯状疱疹は、ヘルペスウィルスの感染により発症します。人に感染するヘルペスウイルスは8種類あり、他にカゼなどの後に口の周りに出来る「熱の吹き出し」などの単純ヘルペス、水ぼうそうなどがあります。すべてのヘルペスウイルスに共通した特徴は、そのしつこさです。体の中にいったん入りこんだら、症状が治まったあともずっと体内に居座ることが大きな特徴です。
帯状疱疹ウイルスの初感染は水ぼうそうで、多くは子どもの時に経験します。水ぼうそうの患者さんの咳などを吸い込むことで感染します。水ぼうそうが治ったあともこのウイルスは知覚神経の根元に居座り、大人になり疲れ等から免疫力が低下した時、神経節から神経を伝って皮膚にでてきます。いわば局所で水ぼうそうの再発が起こった状態ですが、この再発を「帯状疱疹ヘルペス」といいます。一定の神経支配領域、すなわち、片側だけに帯状に症状が現れるため、帯状疱疹と呼ばれます。
帯状疱疹は、1つの神経の支配領域にそって皮疹(ひしん)がでてくることが特徴です。まれに2つ以上の神経の支配領域に出現することがあります。皮疹は局所にできた水ぼうそうの状態ですが、様々な程度の神経痛のような痛みがあります。痛みは皮疹の出現する前からみられることが多く、しばしば夜間も眠れないほどの強い痛みを生じます。そして、とくに60歳以上の方に多いのですが、皮疹が消えたあとも痛みが残ることがあります(帯状疱疹後神経痛)。帯状疱疹の際、全身にぱらぱらと水ぼうそうのような水疱がみられることがあります。これはウイルスが血行とともに広がったことを意味し、免疫力が極度に低下していることが疑われます。単純ヘルペス、水ぼうそう、帯状疱疹の場合、いずれも重篤な合併症として、髄膜炎を起こすこともありますので注意が必要です。おでこから頭の領域での発症では(三叉神経の第1枝領域)では、眼の角膜も侵されることがあります。耳の領域では、聴神経と顔面神経に影響がでる可能性があります(ラムゼイ・ハント症候群:耳鳴り、難聴、顔面神経マヒ)。

漢方医学での考え方

漢方医学では、帯状疱疹ヘルペスの発生は、熱の停滞と考えています。労働などで体力を消耗すると、漢方医学での体の三大要素である、「気・血・水」のうち、血と水が不足する
ようになります。血と水が不足すると、体を冷やす要素がなくなるため、体に熱がこもるようになります。体に熱がこもると動悸、息切れ、ほてりを伴います。このほてりは、体のだるさを誘い同時に眠気を誘います。体がほてって「生あくびが多い」とか、「昼間に眠くなる」と言う時は、疲労の蓄積している状態です。子供の場合では、元気が旺盛なため、ほてりから発熱へ移行する場合もあります。いわゆる「知恵熱」です。炎天下で元気に遊んだ次の日に発熱するような場合です。大人の場合では発熱するまでも行かず、多くは発汗をして治まります。昼寝などをして寝汗をたっぷりかくとスッキリします。しかし、さらに体力が低下すると、発汗する元気も無くなります。発汗出来なくなると、熱は肌肉(皮膚と筋肉の間の脂肪層)に溜まり、症状を引き起こします。

治 療

治療は先ず内臓、内科からアプローチします。つまり、体力を養い、元気を増やさなければいけませんので、胃腸を整えるツボに鍼をし、食欲、消化吸収を助け、元気を作り出せる体にする事が先決です。その後、患部に溜まった炎症による熱を抜くように、関連した経絡に鍼をします。また、それでも残ってしまう熱には、患部に直接鍼やお灸もします。この患部に残った炎症による熱を抜く事がヘルペス後の神経痛にさせない重要な処置になります。
帯状疱疹ヘルペス発症は、疲れやストレスなどで抵抗力が落ちている証拠なので、治療後でも無理をせず安静に、栄養と睡眠を充分にとることが大切です。また、神経のダメージもありますが、痛いからといって保冷剤やシップ等で冷やすとかえって痛みが増してしまいます。できるだけ温めるようにしましょう。