当院でもめまいを主訴として来院される方があります。現代人にとって多くの方が経験する病症の一つに数えられます。現代医学的には検査機械の向上に伴い、細かい分類がしっかりできるようになりました。漢方医学でも古来より多くの研究がされ、多くの成果をあげてきました。また、現代医学とは少し解釈が違うようです。

フワフワやクルクル

一言に「めまい」と言っても症状は人それぞれで、大きく分けると「フワフワ」する感じと「クルクル」目が回る感じに分けられます。
「フワフワめまい」では、足が地面に付いていない様な感じ、マットの上を歩いている様な感じ、頭が揺れている感じ、また、実際によろめいたり、真っすぐ歩けなかったりする事もあります。
「クルクルめまい」では天井が回って見えたり、自分の体が沈んでいく感じになったり、壁が流れて見えたりします。クルクルめまいでは同時に吐き気をもよおし、実際に吐く事もよくあります。

めまいの分類

現代医学的にめまいを分類すると、身体の平衡機能は、目からの視覚や、耳の中にある三半規管、足の裏の感覚や筋肉、関節からの情報をまとめて、脳に伝えられ平行感覚を維持しています。その中で、どこに異常が有るかで症状が分類されます。以下にめまい症状の代表的な疾患をあげます。

良性発作性頭位性めまい症

このめまいに悩まされている患者さんは多く、以前は「めまい」と言えば「メニエル病」が有名でしたが、最近の分類では、めまいを訴える患者さんの約半数がこの「良性発作性頭位性めまい症」にあたります。お医者さんによって以前は「メニエル様症状」と言っていた症状がこれにあたるかと思います。
良性発作性頭位性めまい症は、頭や体を動かしたり、特定の頭の位置を取ることで誘発され、激しいめまい症状を引き起こします。頭を激しく動かすとめまいも激しくなり、クルクルと視界が回る回転性めまいを引き起こし、ひどくなると吐き気、嘔吐を伴ないます。
耳の中にある三半規管の耳石という組織による障害なのですが、耳鳴、難聴はありません。予後は良好で数日から数週間で改善しますが体調により再発する事もあります。あくまで「良性」ですので、後遺障害を引き起こす事は有りません。もし同じような症状が起こったら、後遺症ではなく再発です。

メニエール病

「めまい」と言えば「メニエル病」と思いつく位有名な病名ですが、実際めまいを訴える方でメニエル病と診断の付く方はそれほど多くは有りません。
メニエール病は鼓膜の中の内耳に水があふれる事によっておこります。メニエール病のめまいはクルクルと視野が回る回転性のめまいが主で、それとともに耳の中の病症なので、耳鳴、難聴、耳閉塞感がおこります。耳鳴り、難聴、耳閉感が主に起こる場合では、「突発性難聴」との鑑別が困難です。また、発作が激しい時には吐き気や嘔吐があり、冷や汗が出て顔面蒼白になります。しかし、意識を失ったり、生命に危険が及ぶような事は有りません。発作は数十分~数時間で治まりますが、一度収まった後も数日~数ヶ月後に繰り返す事もあり、人によって様々です。

突発性難聴

突発性難聴自体は「めまい」の病気ではありませんが、先ほどのメニ
エール病と病態が似ており、回転性めまいも起こりますので、ここに付
け加えました。
突発性難聴は、突然片方の耳の聞こえが悪くなる病気です。徐々に悪くなる難聴とは違い、突然耳の聞こえが悪くなるので「突発性」という病名が付きます。この突発性難聴は早く対処すれば聴力の回復が期待されますが、「ちょっと様子を見ようか…」「忙しいから病院は後回しにしよう!」といって発病後時間が経ってしまうと回復の見込みが格段に落ちてしまいます。耳の聞こえが急に悪くなったと感じたら、できるだけ早く治療を開始して下さい。

前庭神経炎

前庭神経炎は良性発作性頭位性めまい症、メニエール病に次いで多いめまいです。三半規管で受け取った情報をつたえる神経の「前庭神経」に炎症が起こり、めまいを発症します。周囲の景色がグルグル回ったり、目の前の景色が急速に流れて見える激しい回転性のめまいで、吐き気や嘔吐を伴います。それが1週間続く事もあり、ひどいと目も開けられなくなり、歩く事もできなくなます。
耳の奥の神経の障害なので、耳鳴、難聴は伴いません。カゼをひいた後に発症しやすいことから、発熱やウィルスが関係しているのではないかと言われています。

椎骨脳底動脈不全

首の骨の後ろにある「椎骨動脈」とそれにつながる「脳底動脈」の血流が悪くなると、平衡感覚を保つ小脳の血行が悪くなり、一時的にフワフワめまいを起こす事が有ります。フワフワめまいと同時に手足のしびれ、吐き気、嘔吐、目のかすみなどを伴う事も有ります。血流が悪くなる原因としては、首の骨の変形や、動脈の通りが狭まくなったり、血管が硬くなったりする事による血流の循環不足によると考えられています。

心循環系機能障害

血圧の低い人が立ち上がったり、血圧の高い人でもいきなり立ち上がったりすると頭の血流が一瞬低下し循環不足を起こしフワフワめまいを起こします。不整脈などによる循環系の機能不全もフワフワめまいの原因となります。月経が重なったり、高齢の方、飲酒時には時に失神をともなう事もあります。

心因性めまい

正確な頻度は不明ですが、患者さんの数は相当多いと思われます。ひどいめまいを一度経験した人は、その恐怖感が脳裏に焼きつき、「まためまいが起きたらどうしよう!」と思い、めまい発作が起きていないのにめまいが起きた気になるのです。また、めまいは不安障害やパニック障害などをきっかけに起こる事もあり、心とめまいはかなり近い位置にあるのです。

漢方はり治療では

漢方はり治療ではめまいの原因の多くは「のぼせ」が関係していると考えています。「のぼせ」とは、頭に血の気が多くなり、頭が熱くなる事です。人間は本来「頭寒足熱」と言って、「頭は涼しく、足が温かい」のが健康な状態です。しかし、めまいを起こす方は、「頭寒足熱」のバランスが崩れ「頭熱足寒」になっている事が多くあります。頭が熱くなると、耳の中や脳を刺激してしまい「めまい」が起きると考えています。では、なぜバランスが崩れてしまうかをタイプ別に考えていきたいと思います。

熱タイプ

熱タイプの方は暑がりで、いつも体はほてり薄着でも平気の方です。この様な方は行動力が有り、陽気があふれているのですが、その分、肩、首、頭に熱がこもりやすくなり、血圧が高くなったり、多忙や何らかのストレスが重なると「のぼせ」がピークに達し、めまいを引き起こします。治療は上半身に溜まった熱を抜く事を目的に行います。

冷えタイプ

冷えタイプの方は慢性的に手足が冷えてしまい、あまりスタミナのないタイプの方です。貧血傾向で低血圧傾向の方に多く見られます。その為血行が悪くなり、血液が上半身に溜まり、肩、首、頭だけが熱い状態になります。多忙やストレス、寝不足や月経などが重なるとめまいを起こします。治療は血行を良くし、上半身に溜まった血液を手先、足先まで巡る事を目的に行います。

胃熱タイプ

胃熱タイプの方は、先ほどの「熱タイプ」の方とは違い、胃だけに熱を持ってしまうタイプの方です。多忙やストレス、不規則な食生活などから胃酸過多傾向になり、胃に熱を持つと胃もたれ、口内炎、歯茎が腫れる、唇が荒れるなどの症状があらわれ、胃の熱は消化器系を通じ次第に口、鼻、耳へと昇り、頭の内部から「のぼせ」を引き起こします。温かいものを食べると頭だけに汗をかくと言う人は要注意です。治療は胃腸を整え、胃の熱を冷ます事を目的に行います。

胃寒タイプ

胃寒タイプの方は慢性的に食欲不振、胃もたれなどが有り、普段から胃腸が弱いタイプの方です。また長期にわたる病気、入院後、病み明けなどにもこのような状態になります。食欲が無く、あまり食べらないため、血行も悪く少し動いただけでめまいを引き起こしてしまいます。治療はとにかく胃腸を整え、物が美味しく食べられる事を目的に行います。

清須市の鍼灸院で働く若先生より