頸肩腕症候群とは

首、肩、腕から手指に及ぶ疼痛、麻痺、循環障害(冷え)など神経や血管の症状をを総称した診断名です。
最近では、これらの内から胸郭出口症候群、頚椎骨軟骨症、腕の神経絞扼症候群が、それぞれ独立して名づけられるようになりました。いわゆる肩こりは、頚肩腕症候群にまとめられます。また、頸肩腕症候群は、肩こりの延長線上にあるとも言えます。
一側の手指、ことに指先のしびれ感、腕の痛みに始まり、指の巧緻(こうち)運動障害(はしが持てない、ボタンのかけはずしができない)、手指の小さな筋の萎縮などをきたし、症状が反対側の指や腕に及び下肢のほうに症状が及ぶこともあります。

原因は何

これらの症状はいろいろな原因によって起こってきます。当院でも、やはり、長時間の手作業によって悪化するものが最も多い原因です。また、内科疾患が隠れていても、症状が起こります。「内科疾患」と言うと驚かれるかもしれませんが、胸やけ、胃もたれ等、軽い症状から、高血圧、低血圧、肝臓、胆嚢疾患、また、各種の胃腸疾患も含めての「内科疾患」です。そのほか、便秘、風邪の後、歯痛、更年期障害、精神神経疾患、外傷の後遺症、あるいは、肩が凝ると、頭、目、耳、鼻、口、歯、歯茎などに病症が現れ易くなります。しかし、何と言っても、これらの原因をさらに悪化させるのは「ストレス」です。

悪化の影にストレスが・・・

長時間の手作業でも、時間に追われ余裕のない作業と、趣味の手作業のように、楽しみでやっている作業とでは、症状の出方が数倍違います。同じキーボードを操作する作業でも、ノルマに追われ、売り上げを気にしながらの作業と、売り上げが順調の時の作業や、ゲームなどの趣味の作業とでは、やはり症状の出方には格段の差があります。余裕を持って出来る作業であれば良いのですが、お仕事などのように、そうはいかない場合もあります。良く患者さんに「治りますか?」と聞かれますが、このような生活状況であれば、再発することは必至です。繰り返さないためには、生活状況の見直しはもとより、症状が出そうな時は、早めの治療と、症状が出てしまってからでは、悪化させない治療が必要です。

治療

治療はどれも原因となる疾患となるものの治療から始まります。体全体を整えた後に、患部の細かい症状を診てハリをします。ハリは、経絡の気の流れの調節ですので、深くは刺しません。また痛みを感じる事もほとんどありません。原因となる疾患の治療をした時点で、すでに、肩凝りやその他の症状が、改善されているのがほとんどです。残った症状は直接、その凝りかたを考慮してお灸をします。この場合のお灸も火傷などは一切残りません。