それは、ある日、何の前触れもなく突然やってきます。朝起きると、肩の関節が痛く、腕を上げる事ができない。シャツを着る事もできなければ、髪をとかすこともできない。腕を少し動かすだけ激痛が走る。中には何もしなくてもズキズキと痛み、夜、寝る事もできないという人もいます。古典書物の中では、「白虎歴節痛」なんて表現が出てきます。つまり、「白い虎に噛まれたくらい関節の痛みが激しい」と言う事を言いたいのでしょう。

原因は何?

「ある日、何の前触れもなく突然やってきます。」と言いましたが、それはあくまでも、患者さんがそう感じているだけで、いろいろ診察をしていくと、「これだ」という原因が、あるものです。もちろん五十肩と言うくらいですから、このくらいの年齢になると、肩の関節の、関節液が枯れてくるという構造上の問題もあります。

熱が原因の場合!

熱があると言う事は、炎症を起こしている可能性があるので、何もしなくてもズキズキと痛みます。こういう方は、朝方よりも、夕方に痛くなります。お風呂に入った後はもちろんの事、寝ている時も痛みます。つまり、体が温まると、「熱+熱」で、余計に痛みは増します。痛みで寝られない為、つらさは倍増です。またこの他に、「熟」のあるもので「逆気」を起こしているものがあります。下半身が冷え、上半身がのぼせているものです。更年期の女性などに多く、この場合の「熱」は炎症性の熱ではない為、何もしなくてもズキズキと痛むというものではなく、腕を上げると痛みが出るのが特徴です。

冷えや湿気が原因の場合!

朝方に痛むとか、動作のしはじめに痛むというのは、多くは冷えが関係します。肩が冷えてこわばっている為、「動かしはじめは痛いが、しばらくすると痛くはない」、「体が温まれば痛くはない」というのがほとんどです。湿は、天候による、湿気と、体の中にある湿気が関係します。体の中にある湿気とは、体の中にある余分な水の事を言います。痛みの特徴としては、天侯に大きく左右されます。雨の降る前などは、「体の中の湿十天候の湿」で、痛みが余計に増します。また、胃腸の弱い人に多く見られるのも特徴です。

治療

治療はまず、原因の除去から始めます。「熱」、「冷え」、「湿」を持ってしまった原因を、ハリを使って治療します。ハリは、症状が激しければ激しいほど、軽く、浅く刺します。経絡(つぼ)を使い、気の流れの調節をしますので、全く痛みは感じません。この時点で、痛みの取れる場合も多くあります。残った痛みに関しては、肩を動かし、どの角度で、どこの経絡が痛むかを調べ、その経絡にハリをします。徐々に痛みの範囲を狭めていき、最後に、お灸を使って、経絡を整え、軽く動かしておわりです。この場合のお灸も先ほどのハリと同様に、熟くはありません。気持ちのいい熱さを限度に取り去ります。もちろん火傷にはなりません。