突然起こるぎっくり腰

重い物などを持った拍子に、突然腰に痛みが走り、そのまま動けなくなってしまう。つまづいた拍子に腰を痛めてしまう。これが典型的なぎっくり腰です。ところが中には、いつもと変わらない動作で、ぎっくり腰を起こしてしまうケースもあります。例えば、新聞を取ろうとした拍子にとか、くしゃみをした拍子になど、ちょっとしたことが原因になったりします。また、前日に草取りをして、その時は何ともなかったけど、朝起きたら起きられなかったという事もあります。重い物を持ってギクッとなった腰痛も、いつもと変わらないちょっとした動作で発症した腰痛も医学的には『急性腰痛』と言う病名がつきます。そして『急性腰痛』の中でも症状がひどい腰痛の事を『ぎっくり腰』と呼んでいます。『ぎっくり腰』はあくまで俗称で、病名ではありません。

思いもよらぬ事が原因に!

高い所から落ちたとか、交通事故で腰を強打したなど明確な理由のある腰痛はともかく、30才を過ぎると、特別な理由もないのに腰が痛む事が有ります。そして、これから寒くなると、圧倒的に多くなるのが、冷えによる腰痛です。夏のクーラーの使い過ぎ、冬場の冷え込み、冷たいものの飲み過ぎ、食べ過ぎなど、何らかの原因で、体を冷した後は、ちょっとした動作でも、腰痛は起こりやすくなります。水分の取り過ぎや運動不足などで血行不良が有ると下半身が浮腫みやすくなり、やがて下半身の冷えにもつながります。冷えは、下に溜まりやすい性質があり、熱は上に溜まりやすい性質があります。これは、人体にとっても同じ事です。冷えは腰から下の、下半身に溜まりやすく、冷えた部分の筋肉は堅くこわばり、腰痛を起こしやすくなるのです。人間の筋肉も買ってきた豚肉やお刺身と同様に、温めるとダラット伸びて、冷やすとシャキッと締まります。人間は生きていますのでゆるやかに伸びているほうが動きやすいのです。反対に、筋肉がシャキッと締まっているままだと準備運動が出来ていない状態なのでちょっとした動作でも痛めやすくなるのです。このタイプの腰痛は、朝方や、動作の開始時、同じ姿勢を取っていると痛くなり、動き出して、体が温まると調子がよくなります。

治 療

熱を持った腰痛・ぎっくり腰

熱を持つ腰痛はほとんどの場合腰を痛めた明確な理由がありますので、その痛めた原因と痛い場所の確認をします。転落や転倒、交通事故などによる腰痛、ぎっくり腰は患部に炎症が起こり熱を持ちますので、その熱の場所と程度を確認し、熱を取り除くための治療をします。体の中で熱い物は血液しか無く、患部に熱が溜まっているという事は、そこに充血や内出血が有るという事ですので、まず、患部にたまった血液を血行を良くする事によって他に散らします。ハリは足に有る血行を良くし、筋肉の緊張を取るツボにします。次に患部を冷やす足のツボに鍼をします。ハリは決して痛い物ではありません。

冷えによる腰痛・ぎっくり腰

冷えによる腰痛は、実際に腰を触ると冷たくなっています。自分で腰を触ってみて自分の手が温かくて気持ち良いと感じる人は大体冷えている人です。さらに、冷飲食の過食により腹部の方から腰に冷えが波及している人はお腹を触っても冷たいです。特におへその下が冷たくなっていて、普段から下痢傾向です。治療は、まず、問診、触診をしながら、冷えの原因となる要素や冷えている部位を探します。そして、足にあるつぼをつかって下半身の血行を改善し、下半身を温める様にハリをします。熱による腰痛も同じですが、患部の血行を改善する事により、熱くなっている箇所は冷め、冷えている箇所は温まるのです。下半身の冷えが改善されたら、直接患部にハリをします。残った冷えにはお灸をします。ハリは、経絡の、気の流れの調節ですので、深くは刺しません。もちろん痛みもありません。お灸も熱くなる前に取るお灸ですので、やけどは一切残りません。

温めたらいいの?冷やしたらいいの?

よくある質問に、「先生この腰は、温めたほうがいいですか?冷やしたほうがいすか?」と、よく聞かれます。事実、温めなけれぱいけないのに冷湿布などで冷やしまい、治癒を遅らせている場合も多く見られます。冷えが原因の腰痛では、まずそれ以上冷やさないというのが原則です。一番わかりやすいのは「お風呂」です。お風呂に入った後、調子がいいのであれば、温めてください。
痛みが増すようであればお風呂を短めにして、冷湿布などで冷やすようにしてください。