夜尿症とは

赤ちゃんは昼も夜もおもらしをするのでおむつが必要ですが、誰もおかしいとは思いません。このように、4歳くらいまでの幼児が、夜おふとんのなかにおねしょをするのは、体がまだ発達の途中にあるためなので、心配ありません。
5歳くらいになると、おねしょはかなり減ってきますが、もしまだ毎日のようにおねしょをする場合は、からだの 生理的な発達が遅れていることも考えられます。
6~7歳になってもおねしょがつづく場合は、積極的な生活指導や、お薬による治療など、適切な対策をとったほうがいいかもしれないということで、病気を意味する「症(しょう)」という言葉をつけて「夜尿症」といっています。

原因は

①夜間の尿量が多い

睡眠中につくられる尿の量を少なくするはたらきを持つホルモン(抗利尿ホルモンといいます)が十分に分泌されないために起こります。

②膀胱容量が小さい

膀胱の機能が未発達で、膀胱が小さいと夜尿の原因となります。膀胱機能は成長とともに整ってきます。個人差はありますが、通常、4~5歳くらいで整ってきます。

③睡眠が深い

④心理的ストレス

夜尿と関わりの強い抗利尿ホルモンは、視床下部というところでつくられます。視床下部は情緒や感情をコントロールしているところでもあり、自律神経と深く関わっているため、強いストレスがかかると抗利尿ホルモンの分泌が悪くなると同時に、自律神経の働きが不調となり夜尿の原因につながることがあります。

⑤膀胱や腎臓の器質的な異常など

⑥体が冷えると夜尿が悪化

冷え性は、夜尿症児では、そうでない子どもの3倍近く多いといわれています。

①幼児期の生活指導

・「起こさず・あせらず・怒らず」は基本  的な生活指導の3原則です。
・水分は、朝と昼に多めにして、夕方から の水分を控えめにしましょう!
・塩分をとりすぎないようにしましょう!
・昼間のおしっこは、もじもじしたからと いってすぐ促さず、心持、膀胱にためて から行かせるようにしましょう。
・のどごしに、ゴクゴクと飲む習慣がある と、ついたくさん飲んでしまいます。
一気飲みの習慣はやめましょう!

②学童期の生活指導   

<1> 夜間に起こすのをやめましょう!
夜間に起こすと、睡眠のリズムが乱れて抗利尿ホルモンが減り、かえっておねしょをこじらせてしまいます。
<2> 規則正しい生活のリズムを確立!
膀胱や尿道のはたらきを調節している自律神経は、規則正しい生活をしていないと、まともに働いてくれません。
<3> 水分・塩分のとり方を変える!
朝から午前中にたっぷり(350~400cc)とって、午後から多少控えめ (おやつの水分は100cc) にし、夕方からきびしく制限するのがコツです。
塩分を摂り過ぎるとのどが乾いて、その結果、水分を摂り過ぎることになります。
夕食は塩分を控えめに。また、スナック菓子には塩分がたくさんふくまれていますので、できるだけやめましょう。

③排尿抑制訓練

膀胱におしっこをためられないタイプ(排尿機能未熟型)のおねしょには、膀胱を大きくしていくために、おしっこのがまん訓練が有効です。

④冷え症状への対応

 

漢方はり治療では

当院の漢方はり灸治療は人体のツボを刺激していきます。人の身体には300以上のツボがあり、一つ一つが脳や内蔵につながっています。ツボを刺激することで、膀胱の働きはもちろんのこと、その他の内蔵機能も働きが良くなり、心と体の発育を助けます。このように東洋医学は部分的に調整するのではなく全体のバランスの調整が特徴です。
はりは、体の表面を軽く刺激するだけです。その結果、血流が良くなり、風呂上りのように全身がリラックスします。リラックスすれば心や神経のバランスも整います。現代医学では薬物治療が積極的に行われます。しかし、幼いころから薬を飲ましたくない親の気持ちはみな同じです。どのお子様も継続的な治療により体質を根本的に改善し、体力のある体に育てていけば夜尿症は必ず治ります。
夜尿が治る時期は、お子さまによって異なります。他の子や兄弟などと比較するなどしてあせるよりは、お子さまの夜尿が1年前と比較してどう変わったか、治療により夜尿の回数がどの程度になったかなどを観察しながら、お子さまの成長を見守ることが大切です。