乳幼児や子供でよく見られる病気です。発熱,口の中の痛み,水疱を伴った発疹が特徴です。軽い発熱と食欲不振・気分不快で始まり,しばしばのどの痛みを伴います。発熱が始まってから1日から2日で口の中の痛みが出現します。口の中、舌などに小さな斑点が出現し,発疹となり,しばしば小さな潰瘍となります。それらは,口の中の,舌や,歯茎,頬の内側の部分に,通常は出現します。皮膚の発疹は,1日から2日で小さな赤い斑から盛り上がり水疱を伴うこともあります。水疱は,水疱瘡(みずぼうそう)と比べると皮膚の深部にできるため,破れにくいです。発疹は,かゆくなく,通常,手のひらや足の裏に出現します。発疹は,おしりにも出現することがあります。口の中の潰瘍だけの場合や,皮膚の発疹だけの場合もあります。重症になることは,少ないです。多くの場合,7日から10日で治ります。患者の大部分は10歳以下ですが,大人でもかかる可能性があります。

漢方はり治療では

7日から10日で治ると言うものの、不快な症状は1日でも早く取ってあげたいと言うのが親の思いです。漢方はり治療では主に子供さんの疲労回復を目的にハリをします。手足口病は疲労が蓄積した結果、免疫力が低下し発症します。また、初夏から秋にかけて増えるのは、子供さんの夏バテに原因があります。主に胃腸を活発にするツボに鍼をし、免疫力の強化を図ります。胃腸の状態が良くなると、口内炎も減り、食事もおいしく食べられるよいになります。ハリをすることで消化吸収を助け、病気に負けないエネルギーが作れるようになるのです。ハリは「小児はり」と言い、刺さないハリを使用します。刺さずにツボを刺激するだけのハリですので、痛みは全くありません。

かかってしまったら

口の中に潰瘍ができて痛みがある場合,口の中に食物を入れると,食物が潰瘍部分を刺激して痛みを増強するので,患児が食物を食べようとしなくなることがあります。このようなときには,熱いものは人肌までさます,濃い味(特に刺激物や酸味,塩味)のものは避ける,あまり噛まなくて良い消化の良いものや麺類などにし,水分をよく補給する等の食事面の配慮が必要です。また、子供さんは少し良くなると、元気に暴れたりもしますが、あまり調子に乗って、遊ばせ過ぎないようにしたいものです。
予防のためには,患者も,その周囲の人たちも,手をよく洗うことです。患者の便には1か月ほど病原体のウイルスが出ている可能性があるので,特に患児のおしめを替えた後などは,よく手を洗いましょう。