治療の頻度、間隔、回数は、治療を有効に受けるにはとても大切な問題です。

急性症 

例)ぎっくり腰・むち打ち・捻挫・つわりなど
日常生活ができないほど程度のひどいものは、ある程度落ち着くまで毎日治療します。日常生活ができるようになれば、2日に一回、3日に一回と、少しずつ治療間隔を空けていきます。
ぎっくり腰や五十肩のひどい人にこのような方があります。
また、つわりのひどい方も、日常生活に支障をきたす事もあります。
捻挫やむち打ちなどで、日常生活はできる程度のものは二日に一回程度治療をし、早ければ、三回ほどの治療で完治されます。
特殊な例として、日常生活が出来ても「4日後に海外旅行があるので・・・」などと言う場合には、毎日治療し、少しでも快適な旅行になるようサポートします。

慢性症

 例)数年来の腰痛、肩こり・胃炎・怪我の後遺症
腰痛は以前からあるけれど、最近少しづつ悪化していると言う場合には、急性症のように、毎日治療する必要はありません。しかし、少しづつ悪化している状況は止めなければいけません。
症状にもよりますが、悪化している症状を止めるには週2回位の治療が必要です。人間の体は元に戻ろうとする作用があります。少しづつ悪化している症状と言うのは、鍼灸治療をしても、「1日~2日は調子良かったけど、4日目には元に戻っていた」と言う事が良くあります。そうなると、治療の頻度としては、1日~2日の調子が良かったあとから、再び調子が悪くなる前に一度治療ができると、少しづつ良くする事が出来ます。このような状況の時に、週1回の治療にすると、1か月たっても症状が変わらないと言う事になり、返って治療を長引かせることにもなります。
「少しづつ悪化している」という状況が治まれば、今度は症状を軽減させる目的で治療を行います。
治療を継続していく上で、治療後は症状がかなり軽減されると言う場合は、その症状に鍼灸が合い、症状自体も、どんどん良くなる状態の為、このような場合は、完治するまで、一気に治療した方が、返って治療回数を少なくする事が出来ます。
「治療後4日~5日は調子が良い」と言う場合には、1週間に1度の治療を行います。
良くある症状ですが、「仕事をすると悪化する」と言う方がいます。パソコンなどの事務作業で肩こり、片頭痛、目の疲れが悪化する方や、肉体労働で腰痛、関節痛が悪化する方がいます。避けて通れる仕事であれば良いのですが、どうしてもその仕事を続けなければならない場合は仕方がありません。このような場合は、定期的な治療を行い、症状を悪化させないように治療を行います。

婦人科疾患

  例)生理痛・月経不順・不妊症など
生理に伴う婦人科疾患では、鍼灸の効果は月に一度しか確認できないため、できたら初診の1カ月間は、週1度の継続治療をお願いしています。症状の改善など効果を確認した後、治療の頻度を考えます。症状がかなり改善された場合では、生理痛などの症状が出そうな周期の時に来院していただきます。

その他

例)脳血管障害・大病後・各種膠原病・原因不明の疾患など
各種検査で異常のないものや、現代医学的には治療法の無いものなどで、東洋医学、漢方医学で効果を発揮する症状もあります。ただ、症状や、患者さんの状態によりますので、効果も一様ではありません。
このような場合、比較的軽く、浅い症状であれば、5回ほど治療して、もう一度、治療効果、症状改善の可能性について、お話合いの場を持たせていただきます。
症状が重く、深い場合には、少なくても週2回の治療を1カ月続けてみて、治療効果、症状改善の可能性について、お話合いの場を持たせていただきます。

人間には「自然治癒力」という大きな力を備えています。しかし、その自然治癒力も万全ではありません。
20代30代の頃には一晩寝れば治ったものも、年齢とともに治りにくくなります。
生活習慣を改善し、治っていく症状は良いのですが、悪化していくものは何か一つ治療の手を加えなければいけません。