ちょっと真面目な話think

最近、というよりは以前から、安易に鎮痛剤を使う方が多いです。

確かに、何か痛みを抱えて病院に行くと、まず鎮痛剤が処方されるので仕方のないことかもしれませんが…

骨折や捻挫なごの急性症では仕方のないことですが、慢性の症状に鎮痛剤を長期間使っているとやがてきかなくなり、胃腸障害をもたらします。

少し鎮痛剤について書いてみました。
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鎮痛剤とは

ここで言う「鎮痛剤」はいわゆる「痛み止め」と同じ意味として話を進めます。鎮痛剤と一言に言っても、その用途と種類は様々です。頭が痛くなった時に飲む頭痛薬も鎮痛剤ですし、生理痛がつらい時に飲むのも鎮痛剤です。捻挫や打撲をした時に貼る湿布薬も鎮痛剤です。また、ガンなど激しい痛みを和らげるのに使うモルヒネなども鎮痛剤の一つです。

鎮痛剤の適応

痛みが有るからと言って、安易に鎮痛剤を飲んでもあまり意味がありません。鎮痛剤はどのような痛みにも効くと考えがちですが、原因が何にあるかを知った上で使い分ける必要があります。鎮痛剤は大きく次のように分けられます。
(1) 痛みが起こる場所や性質に応じた、痛みのもとをブロックする作用のある鎮痛剤。このタイプにはさらに次の2つの種類がある。
(a) 炎症を抑える抗炎症作用のある鎮痛剤。患部の炎症にともなって痛みが起こる場合に有効。頭痛、月経痛、歯痛、肩こり、腰痛、筋肉痛などに効く。アスピリン、イブプロフェンなど。
(b) 痛みの原因となる症状を抑えることで、痛みを鎮める薬。下痢による腹痛など、腸が収縮するために痛みが起こる場合などで、腸管の働きを正常にする薬によって、痛みを鎮める。抗コリン薬など。
(2) 脳の痛みを感じる中枢に作用して、痛みの感覚を麻痺させる、いわゆる麻薬性の鎮痛剤。がんによる激痛などに使われ、日常起こる痛みに対して処方されることはない。

症状別鎮痛剤の使い方

鎮痛剤は、痛みの原因を治すのではなく、痛みを感じにくくする薬ですので、長く服用しないことが肝心です。また、痛みも成長しますので、鎮痛剤を長く使うと効き目も薄れてきます。しかし、痛みのため日常生活に支障があったり、会社を度々休むような場合には、鎮痛剤の使用もやむをえません。ここでは、各症状別に上手な鎮痛剤の使い方を考えてみます。

頭痛

頭痛を頻繁に繰り返す人がいます。そういった方は頭痛に慣れていますので、頭痛薬を常備している方が多いようです。頭痛がおこると頭痛薬を飲んで治めるようにしていても、その頭痛薬が効かなくなってきた時は要注意です。薬の効き目よりも頭痛の勢いが強いので、痛みの方が勝ってしまうのです。大事な仕事がある時は薬の量を増やしたりして対処する事もやむをえませんが、長い目で見ると頭痛になり難い体にする事を考えた方が良いでしょう。頭痛の原因にはホルモンバランスや自律神経の失調など色々ありますが、経験上ほとんどの頭痛は、肩、首、後頭部の筋肉をゆるめると治まります。

生理痛

あまり生理痛がひどい方は、一度は婦人科で検査を受けた事があると思います。しかし、検査では異常がないのに生理痛がひどい方がいます。そもそも「痛み」は生体内の危険を知らせてくれるもので、それぞれの痛みには、通常は発生する理由があるのですが、検査でははっきり分からないということは、炎症などの程度は低いという事です。つまり、炎症を抑える消炎鎮痛剤は効かないということです。こういった方に、子宮内に炎症はないものの、全体として貧血傾向の方がいます。
生理は、排卵とともに子宮内膜が厚くなり、受精(妊娠)が起こらなかった場合に、その子宮内膜が剥がれ落ちることで起こります。このときに、子宮内では、非常に血を消耗するのです。ただでさえ貧血傾向で血が少ないうえに、さらに血を消耗するので、子宮が栄養されず痛みを引き起こしてしまいます。生理に伴う頭痛も貧血から起こります。この場合も、仕事や試験など、どうしても痛みを取らなければならない状況の時は鎮痛剤をうまく使うとよいでしょう。生理痛は、生理の時のみ痛むので、頭痛薬のように常用性が少なく、飲み続ける事もないため、副作用などはあまり心配ではありません。しかし、生理痛があると言う事は、いくら検査で異常が無いからと言っても、痛みは何かの黄色信号です。長期的にみると、生理痛を薬でごまかし続けるよりも、治療を通じて生理痛の来ない体にすることが肝心です。

 

打撲、ねん挫、腰痛など

打撲やねん挫、また、骨折、抜歯などは急性症なので、鎮痛剤を飲んだと
しても短期間のためあまり問題にはなりません。問題になるのは、慢性の腰
痛やひざ関節痛、肩関節痛に対する鎮痛剤です。整形外科等にこういった
症状で行くと、先ず鎮痛剤をもらって帰ってきます。そして鎮痛剤を飲むと、
痛みがうそのように消えるのです。それはそのはずです。痛みを感じにくくす
る薬ですので…。痛みを感じにくくしているだけですので、痛みの原因が無
くなったわけではないのです。ですから薬が切れると再び痛み始めます。患
者さんとしては鎮痛剤を飲むと痛みが無くなるので、ついつい動き過ぎてしまいます。しかし、患部の炎症は変わらず残ったままですので、動き過ぎると薬が切れた時、最初より激しく痛むようになってしまいます。鎮痛剤を飲んだあと痛みが消えたからと言って動き過ぎないように注意しましょう。
また、痛み止めは一緒に胃薬も処方されます。これは、鎮痛剤が胃に悪いだけではなく、痛み止めの副作用を予防するためにだされているのです。鎮痛剤といっしょにだされる薬のほとんどは、粘膜の防御力を強める薬です。痛みを止める鎮痛剤は、痛みを発症させる物質であるプロスタグランジンの生合成をおもに阻害します。鎮痛剤は、痛みを止めるプロスタグランジンを阻害すると同時に
胃の粘膜を保護するプロスタグランジンをも阻害してしまいます。つまり、胃のなかでの消化液である胃酸の分泌と胃粘膜保護のバランスがくずれて胃腸障害などが起こりやすくなります。ですから鎮痛剤を服用するときには、胃粘膜の防御を高める薬が同時に処方される事が多いのです。つまり、胃腸の弱い方は、鎮痛剤を長期に服用する事が難しいのです。

シップについて

シップも鎮痛剤の一つです。シップは漢字で書くと「湿布」と言うように、文字通り「湿った布」と言う事です。昔は発熱したり、ねん挫などで患部が腫れて熱を持った時には、手ぬぐいを水で冷やしては患部に繰り返しあて、患部の熱を冷ますようにしました。今でも整形外科に行くと必ずと言って良いほどシップが処方されます。しかし、このシップも的確な場所に的確な時期に貼ると絶大な効果を発揮しますが、多くの場合、間違った使い方をされています。そもそも、シップは腫れて熱を持ったところを冷ますためのものです。ですから、打ち身や打撲、ねん挫などの急性期に、患部に熱を持っている場合は効果的です。患部に熱が有るため、お酒を飲んだり、お風呂などで温まるとさらに痛みが悪化します。このような時は患部をシップで冷やす事は効果的です。しかし、患部が冷えて痛みを表している場合、シップは逆効果になってしまいます。患部に手をあてた時、患部が冷えている場合や、朝方痛むが動き出すと調子が良い場合、お風呂に入ると痛みが減る場合などは原因の一つに冷えが挙げられます。冷えが原因で痛みがある場合は、交通事故や転倒など、これといった原因の無いものがほとんどで、スポーツなどをしなくなった30代以降は、痛みの原因のほとんどが冷えによるものになってきます。では、「温シップ」はどうかと言うと、温シップはネーミングのトリックで、やはり「湿った布」で、貼っても決して温まりません。貼って実際に温かいのはカイロだけです。