不妊治療と漢方はり治療

当院の行っている漢方はり治療は、漢方薬と同じ理論を用いた治療なので、各種婦人科疾患に効果を発揮することができます。その中でも不妊症に関しては自然治癒力を向上させ、下半身の血行不良を回復させることにより好結果につなげられる最適応症と言えます。
最近では、プロゴルファーでタレントの東尾理子さんが不妊治療を受けながら鍼灸の両方で体調管理をしていたことをテレビで放送されていました。
今回は、人工受精、及び体外受精における鍼灸の役割について考えてみたいと思います。

不妊治療の種類

不妊治療には、「一般不妊治療」と言われる「タイミング法」「ホルモン療法」「人工受精」と「高度生殖医療」と言われる「体外受精」「顕微授精」があります。

タイミング法

基礎体温表や超音波、尿検査により、排卵日を予測し、それに合わせて夫婦生活を営むよう指導されます。 不妊治療の最初の段階として行われます。

ホルモン療法

ホルモン剤による排卵を誘発させる治療法です。排卵に障害があったり、ホルモン異常により子宮の内膜に排卵が着床しない場合に行われます。飲み薬と注射薬があります。

人工授精

排卵予測日に、精液をより分けて子宮に注入する治療法です。タイミング法やホルモン療法で妊娠しなかった原因不明な不妊症や、男性に問題がある場合に有効な手段として考えられています。

体外授精

卵子と精子をとりだして受精させ、受精した卵細胞のうち良好な胚細胞を選び子宮内に注入する治療法です。

顕微授精

精子の状態が悪く、体外受精によっても受精しなかった場合、精子を人為的に卵子の中へ直接注入し受精させる方法です。

漢方はり治療では

人工授精を行う予定の方には、妊娠しやすい状態に体を持っていくことが重要です。子宮内膜症や卵巣嚢腫など、基礎的な疾患のある方は婦人科と連携して規則正しい生理、生理痛の少ない生理が来るように体調を調節します。また基礎体温表においても、高温期と低温気がしっかりと分かれ、それぞれ正常な状態を維持できるようにします。体調を整え、下半身の血流を良くしたうえで、人工授精を行っていただき、妊娠の確率向上をサポートします。
また、体外受精や、顕微受精をお考えの方も同様な治療になりますが、採卵の時期を見据え、少しでも良い卵ができるように治療を行います。
最近では「卵子の老化」というものが原因と言われていますが、患者さんの年齢や、体質なりに、より質の良い卵が採取できるように体調を整えます。
当院で継続して治療していると「良い卵が採れる確率が多くなった」という患者さんの声も聞かれます。婦人科などで採卵した際に良い卵か質の低下した卵かが分かるため、こういったことからも鍼灸治療の効果を実感していただけるようです。
体外受精や顕微受精をお考えの方の中には、原因不明の不妊症の方も多く、生理不順や生理痛などもなく、日常生活を元気に過ごされている方も少なくありません。そういった方でも、診察をしていくと何らかの体質改善のポイントがあります。より健康に、より若々しい体になっていただくことにより妊娠の確率向上をサポートします。

人工受精後、体外受精後にできること

人工受精後、体外受精後も体調の管理は大切です。と言っても、寝ていなければいけないとか、会社を休まなければいけないということではありません。カゼなどを引かないよう、当たり前の注意をするだけです。過度の運動、飲酒、喫煙はもちろん控えて穏やかな気持ちで過ごす事が重要です。どうしても仕事や家事、子育てに多忙な方は、疲れこまないように鍼灸治療を継続することもあります。
また、体外受精、顕微受精を行った後に腹水がたまることがあります。これは卵巣過剰刺激症候群というものが原因になりますが、体外受精、顕微受精を行う方には少なからずある症状です。また、妊娠するとこの腹水はさらにたまる傾向があるため婦人科への受診が必要です。腹水が安定している状態なら鍼灸治療を行うことができます。この場合は感染症などを起こさない刺さないハリ「鍉鍼」を使います。鍼灸治療を行うことにより血行を良くし、たまった水分を尿として排泄するようにアプローチします。

若先生