現代人は冷えている

当院では来院される患者さんの脈をみる事から治療が始まります。脈をみると何が分かるのか・・・?
単純に言えば血流が分かります!
どの様に分かるのか?
血流が良い人は脈が太く弾力があります。血流が悪い人は脈が細く触れにくいです。もちろん、その方の年齢や性別、体格にもよりますが、現代人は総合して「冷えている」と言えます。
一昔前は、平均体温は36.5℃というのが常識でしたが、現代は「低体温症」という言葉も良く耳にするほど、体温が低い人が多くいます。暑がりの方もいますが、暑がりの方は、夏にクーラーで体を冷やし、冬も冷蔵庫の物を多く採り、体を冷やし続けた結果、血流が本来より悪くなっています。昔は、真冬でもはだしの方をよく見かけました。スーパーなどに行くと真冬にもかかわらずはだしにサンダルという方が結構いました。しかし、今ではほとんど見かけません。
「薄着でも平気!」という方は血流の良い方です。冷えに強いため薄着でも平気なのです。現代では薄着の方は若い方しか見かけません。若い方は血流が良いため薄着でも平気なのです。しかし、その半面暑がりなため、クーラーの使い過ぎや冷たい物の取り過ぎで、20代半ばに入ると一気に「冷え症」に移行する事も少なくありません。女子高生の頃は短いスカートでも平気だったのに、今は腹巻が無いと体調が悪くなると言う方いませんか?

体が冷えると心も冷える

漢方医学では物事を「陽」と「陰」に分けて考えます。陽と陰は以下の通りです。

陽:熱・動・明・上・外・亢進・積極的・外交的・プラス思考
陰:寒・静・暗・下・内・低下・消極的・内向的・マイナス思考

漢方医学は心と体は一体だと考えています。そのため、現代医学で言う精神的な症状も体調不良として考えています。現代医学のように心と体を切り離しては考えていないのです。
つまり、漢方医学では「体が冷えると心も冷える!」「心が冷えると体も冷える!」と考えているのです。そして、「人間」が冷えると機能はすべて「低下」するのです。
つまり、体を冷やす事によって「機能が低下する」という事はそれだけ血流が悪くなり、働きが衰えてしまうという事です。体調としても、なんと無く調子が悪い日が続き、気分も消極的になり、マイナス思考になってしまいます。これでは当然性欲も低下してしまいます。また、基礎体温も高温期なのに体温が上がらず、低温期のままなので、排卵も正常に行われなくなる事があるため、妊娠もしにくくなります。
反対に「体が温かい人」は、すべての機能が「亢進状態」なので、体力も充実し、内臓や婦人科の働きもしっかりし、快食、快眠、快便です。
また、精神的にも積極的、外交的で、何事にもプラス思考です。
基礎体温も高温期と低温期がはっきり分かれ、排卵も規則正しくなるため、良い卵が排卵され、性欲も正常に増します。
何より、体が温かい人は、精気が充実し、目に力があり、声もしっかり通り、肌の色つやもよく、周りを明るくします。今流行のアンチエイジングです。

血行不良と卵の衰え

最近、不妊治療の現場では「卵の衰え」についての記述をよく見ます。35歳を過ぎると良い卵が排卵される確率が減ってくると言う事です。
しかし、これは西洋医学での話!
漢方医学では「血行不良による機能低下」こそが良い卵が出来なくなる原因と考えています。35歳を過ぎても、血行さえ良ければよい卵が出来るのです。実際に、40歳を過ぎても妊娠する方の多くは血行が良く、冷えが少ないものです。
年齢とともに冷え症へ移行する事は仕方のない事です。反対に言えば、年齢とともに暑がりになる人はいません。(更年期障害は別ですが…)
妊娠を希望される方がすぐにでもできる事は、冷え症への移行を少しでも止め、血行不良を改善し、妊娠率のUPにつなげることです。

心を温める

不妊治療に関しては、長引けば長引くほど精神的な負担が増え、葛藤の日々を送り、「なぜ私だけ!?」と心が折れそうになる事はたびたびだと思います。そして思いつめれば思いつめる程、実は精神的負担が増え、心が冷えた状態となり、緊張状態が続き、自律神経は乱れ、手足は冷え、肩こり頭痛、食欲不振、不眠となり、結局、血行不良を悪化させてしまう事にもなりかねません。
「不妊治療なんかや~めた!」と、妊娠に関する努力を一切やめた後にぽこっと妊娠する方の話をよく聞きますが、漢方的にはかなり納得のできる話です。
人間は誰でも心が疲れてしまうと体も疲れてしまいます。反対に、体力が充実していれば心は疲れにくくなります。鍼灸治療をする事により、体力が少しでも充実し、心が温まれば幸いです。

不妊治療に向き合うご主人に知っていただきたい…

温かい環境で妊娠率UP!

不妊治療に向き合うカップルには、それぞてお互いに言い知れないストレスがかかるものです。不妊治療と真剣に向き合おうと決めたのであれば、まず、ご夫婦そろって専門のクリニックで検査を受けて下さい。一緒に受診が出来なくても、可能であれば、男性が先に検査を受けて下さい。なぜなら、男性側の検査は痛みを伴わないからです。採精の際の切ない気持ちはありますが「痛
み」を伴いません。そして、男性側の検査はすぐに結果が出るからです。それに対し、女性側の検査は数種類あり、痛みを伴うものもあります。
経済的な負担ももちろんありますが、この、検査や治療に対する苦痛が『赤ちゃんが欲しい』と言う熱い思いを冷めさ、時には夫婦間の熱も冷めさせるのです。
反対に、不妊治療を通して、夫婦の絆がさらに深まることもあります。
奥さんだけが治療にあたっている場合でも、不妊治療は「共同作業」であることを常に意識してあげて下さい。
月に一度、妊娠しているかどうかが判明する日には、出来るだけ早く帰って来て是非一緒に過ごすようにし、結果はどうであれ『今回も頑張ってくれてありがとう!』と声をかけてあげて下さい。声をかけるのが照れくさいようでしたら、手料理をふるまうとか、少し良いお店を予約するとか、奥さんの負担を少しだけ減らしてください。こうすることにより、治療に対しても「また頑張ろう」と思えますし、冷えた心も温まるのです。
心が温まるとまた情熱が湧き、積極的でプラス思考になれるのです。温かい環境であれば、不妊治療という楽しくない時間でもお互いが歩み寄る事により、温かい時間に変える事が出来ると思います。
心が温まると妊娠率もUPするのです。

清須市の鍼灸院で働く若先生より