生理痛
生理痛
「生理痛」と言ったり「月経痛」と言ったりしますが、ひとによって症状は様々です。生理・月経になると下腹部が痛くなる人、腰が痛くなる人、頭が痛くなる人、また、生理前になると、「イライラする」「不安感がある」など、精神的な症状を訴える人もいます。
「毎回1日目~2日目は生理痛はひどいけど、鎮痛剤を飲んで、何とか日常生活ができている」と言う方も少なくありません。こういった症状には、鍼灸で症状が緩和するものが多くあります。
(※生理痛の程度のひどいものや、不正出血を伴うもの、症状がどんどん悪化しているものは、一度は婦人科を受診する事をお勧めします。)
漢方はり治療での分類
漢方医学では症状を陰陽論で考えますので、症状を「陰と陽」の二つに分類して考えます。
生理痛・月経痛も、「陰」である「寒」と、「陽」である「熱」に分けて考えます。
つまり、寒がりさんの「寒タイプ」と暑がりさんの「熱タイプ」の2パターンについて分けて解説します。
〈寒タイプ〉
「寒タイプ」の方は、同世代の方と比べて寒がりで厚着傾向であったり、消極的でインドア派といったイメージです。生理痛・月経痛の時も、「寒タイプ」の方は、お腹や腰など、体を温めると楽になります。暑がり傾向の方でも、体を冷やしすぎると「寒タイプ」と同じ症状が現れます。人体の中で血流が足りている所は暖かく、血流が足りていないところは冷えてしまいます。体質的に寒がりの方は、初めから血流が足りていない状態ですので、生理が始まり、経血として血が抜けると、さらに骨盤内の臓器は血流が不足し冷えてしまうのです。そのため、生理が始まると、下腹部や腰は一段と冷たくなり、腹痛、下痢、腰痛を引き起こすのです。また、骨盤内が慢性的に冷えていると、生理は遅れがちで、月経血は薄くなり、生理期間は一週間くらい長く続きます。あまりに大量出血のときは頭がズキズキと痛みます。普段から貧血気味の方ではなおさら症状は悪化します。これは全て冷えによる症状です。冷えによる血行不良もありますし、血行が不足すると冷えやすくなります。
また、冷え性傾向、貧血傾向の方は、高温期を長く継続することができず、生理の1週間くらい前になると高温期を維持することで、体が疲れ易く、精神的にも不安定になり、月経前症候群(PMS)や少し段階の重い月経前不快気分障害(PMDD)と言った状態になりやすくなります。
熱タイプ
「熱」のタイプの人は同世代の方と比べて比較的薄着でも平気です。行動的でスタミナの有るタイプに多くみられます。生理痛・月経痛の時は、下腹痛や腰痛もあるのですが、冷えて痛むというものではないため、温めても楽になりません。熱タイプの方は、もともと血行が良いので、子宮に熱がこもりやすく、子宮内膜は厚くなりやすいため、子宮内膜が子宮から剥がれる時に痛みを伴います。その為、生理が始まると、なんでもなかったように痛みがなくなるのも特徴です。また体質的に熱がこもりやすいため、高温期後半の生理前になると、胸に熱がこもり、イライラしたり、ヒステリックになってしまいます。熱タイプの多くは生理前に便秘して生理中は快便になります。これは月経血が抜けることによって骨盤内の熱も抜けるためです。
体に熱がこもると細胞分裂も早まるため、生理は予定の28日周期よりも早く来る方が多いです。骨盤内の熱の為、月経血は少なくて濃くなり、時には血の塊が混じります。これは、体質的に熱がりの人や、カゼなどで発熱しているときに生理になると子宮に熱が入り、子宮内の血液がうまく流れず、このような状態になり、「ある日突然生理痛があるようになった」という状態になります。
治療
治療まず脈をみながらの問診から始まります。患者さんの現している症状を大きく「寒」「熱」に分け、「寒」「熱」の状態を、問診や触診などから探し出し、この「寒」「熱」を改善するつぼに鍼をします。血液そのものが足りない人には血を増やすツボに鍼をします。血の流れが悪い人には血の流れをよくするツボに鍼をします。鍼は経絡の気の流れを調節するだけなので、決して痛くはありません。最後に婦人科疾患には著効があるとする「三陰交」というつぼにお灸をします。このお灸は少し熱さを感じますが心地良い程度の熱さで、やけどなどは一切残りません。