腱鞘炎・バネ指って何?

腱鞘とは、手の指などを動かす、腱を包む鞘(さや)を指し、腱鞘炎とは、指などを繰り返し動かし、過度な負荷がかかったため、その腱を包む鞘に炎症が起こったものを言います。その多くは、手首の、親指側に発症します。バネ指も腱鞘炎の一つで、腱に炎症を生じると、腱が膨れ、鞘の中を通れなくなり、指を曲げたり、伸ばしたりすると、バネの様に、「パチン、パチン」と、曲げたら曲げっぱなしに、伸びたら伸びっぱなしになってしまうものを指します。普段指をあまり使わない人が、裁縫や、草取りをした後や、作業などで、指を酷使する仕事をしている人に頻発します。

漢方はり治療では

漢方はり治療では、どのような病症でも、根本になる原因の除去からアプローチします。よって、ただ単に指が痛いといっても、脈やおなかを診て全身の状況を確認し、肩や、背中の筋肉の張りを診て、治りにくい原因を探ります。多くは、使いすぎなどから、炎症を起こし、痛みが現れます。炎症が起こると、血の滞り、血行不良が現れます。患部に熱を持ち、赤く腫れているのは、そこに血の滞りが出来てしまい、なかなか流れない状況を指しています。この状況が慢性化すると、肩、首、背中の筋肉も緊張し、ますます血行不良を助長します。また、この反対に、もともと肩こりが激しい人では、すでに血行不良があるので、少し手や指を使っただけでも、簡単に、腱鞘炎やバネ指になってしまうと言う事も言えます。

治療

治療は主に血行不良を改善させることから始めます。もともと貧血気味で、血の量が少ない人では、血の量を増やす作用のあるつぼを使い、すでに血の滞りを起こしている人には、血行がスムーズに流れる作用のあるつぼにハリをします。当然、肩や首などの筋肉の緊張が、血行を妨げているようであれば、そちらの凝りの改善にもアプローチします。すでに患部に悪い血がたまり(これを漢方では 血といいます)赤く腫れあがり、熱を持っている場合では、患部に直接ハリをし、悪い血を、ポンプで吸い出す場合もあります。また、慢性化したものでは、もうすでに炎症性の熱感はなくなり、血行不良から、冷えて強張っている場合が多く、そういった患部には、温めるお灸をします。当然のことながら、発症して日数の短いほど治りやすいのはどの疾患でも同じです。