痛風
痛風って何!?
痛風は、文字通り「風が吹いても痛む」という所からこの名が
つけられたということです。以前は中高年の太った方に多かった
痛風も、現在では30代に一番多く、20代でも患者が増加しています。
典型的な痛風では、足の親指の付け根が赤くはれ上がり、振動を感じたり、人がまたいだだけでも痛むといいます。突然何の前触れもなく症状が現れるため「痛風発作」ともいわれます。2、3日はその症状が続き、1週間から10日経つとしだいに治まり、しばらくすると症状がなくなります。しかし、痛風の厄介なところは、治まったかと思うと、またある日突然再発するところです。しかも、繰り返すうちに、かかとやふくらはぎなど、主に膝から下で症状の範囲が拡大し、発作が起こる頻度も多くなります。慢性化すると、腎臓なども障害をきたします。このように痛風の厄介なところは、ある一定の条件を満たしてしまうと、また突然発作的に再発し、症状が拡大するところです。
原因は何?
痛風の原因は、体にたまった余分な「尿酸」にあります。「尿酸」とは、古い細胞が分解されたり、体に必要なエネルギーが代謝されることによって生産された老廃物です。尿酸はある一定量たまると腎臓から尿とともに排泄されます。しかし、この尿酸が、暴飲暴食、運動不足、ストレス、アルコールの飲みすぎ、また、尿酸を排出しにくい体質などが原因で体内に溢れると、「高尿酸血症」となり悪影響をもたらします。
尿酸は水に溶けにくいため、固まって結晶化します。それはまるで鍾乳洞で鐘乳石ができるように、コツコツとたまっていくのです。この尿酸の結晶が関節に沈着すると、体は関節に障害が起きた勘違いし、その障害を抑えるために白血球が過剰に反応し攻撃します。白血球が過剰に反応し、関節を攻撃すると関節ははれ上がり、炎症が起こります。
痛風と食事
痛風を引き起こす原因は、尿酸にあります。そしてこの尿酸がたまる原因がプリン体の摂取にあります。プリン体を多く摂取すればするほど痛風にかかるリスクは高まります。最近CMなどでも「プリン体0%」などと良く出てきますが、裏を返せば、それだけ痛風に困っている人が多いと言えます。このプリン体は、お菓子のプリンとは無関係で、正式名称は「プリンヌクレオチド」と言います。プリン体は、体内で細胞分裂を行う際、DNAの複製を行なうには無くてはならない物質で、DNAを構成する物質がプリン体の一種なのです。
では、どの様な食事を取ればプリン体を取らずに済むかと言うと、結論から言えば、ほぼ全ての食べ物にはプリン体が含まれているといえるので、全く取らずに済むのは不可能です。肉や魚、野菜など細胞がある以上、食べ物にはプリン体が含まれています。問題は、そのプリン体の含有量です。プリン体含有量一覧
*極めて多い(300mg~)
鶏レバー、マイワシ干物、白子、あんこう肝、鰹節、煮干、干し椎茸
*多い(200mg~300mg)
豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、さんま干物
*少ない(50mg~100mg)
ウナギ、ワカサギ、豚ロース、豚バラ、牛肩ロース、牛肩バラ、
牛タン、マトン、ボンレスハム、プレスハム、ベーコン、ツミレ、
ほうれん草、カリフラワー
*極めて少ない(~50mg)
魚肉ソーセージ、かまぼこ、焼きチクワ、さつま揚げ、カズノ
コ、スジコ、ウインナーソーセージ、豆腐、牛乳,チーズ、バター、鶏卵、とうもろこし,じゃがいも、さつまいも、米飯、パン、うどん、そば、果物、キャベツ、トマト、にんじん、大根、白菜、ひじき、わかめ、こんぶ
*アルコールのプリン体含有量
1位 紹興酒 2位 ビール 3位 発泡酒 4位 日本酒 5位 ブランデー
(焼酎にはプリン体が含まれていません)
プリン体を多く含む食品は、どれもうまいものばかりです。ですから昔は贅沢病と言われたりもしました。現在でもプリン体を出来るだけ抑えることが痛風の食事療法の基本といえます。プリン体を多く含む食材は肉類と魚類です。特にお酒のつまみになる珍味、レバー、白子といった内臓部がプリン体の含有率が高いのです。意外と知られていない所では、納豆が大豆加工品の中でも多くプリン体を含んでいます。大豆は高タンパク食品の一つでもあるので、注意が必要です。
また、プリン体を少なくする調理法なども紹介されています。プリン体は水溶性の性質を持っているため、水で茹でて調理するのが効果的です。しかし実際には、鰹節を煮出しただし汁や、肉を焼いた時の肉汁は、最もおいしいところであり、それだけを控えるのもあまり現実的ではありません。やはり、全体の摂取量を控えるのが一番の近道です。
治療
鍼灸の治療では単純に関節の炎症として治療するため、痛風であっても特別な治療をするわけではありません。捻挫の治療やリウマチの治療のように、どこの経絡に炎症が起こっているかを確かめ、その経絡に従ってつぼに鍼をします。痛風はむしろ、現れている経絡が比較的限定されているため、我々鍼灸師にとっては治療しやすい疾患ともいえます。