うつ病について数回にわたり説明させていただいています。
 今回は閉経前後の女性更年期特有のうつ症状について説明させていただきます。

☆更年期とは
 更年期の年齢は、一般的に閉経前後の数年間をいいますが、閉経の年齢は個人差が大きく、40代前半に迎える女性もいれば、50代後半になっても迎えない女性もいます。一般的には45歳から55歳の間を更年期と考えていいと思います。
 この時期に、のぼせ・ほてり(いわゆるホットフラッシュ)・動悸・めまい・頭痛・不眠などといった身体的な症状と同時に、気持ちの落ち込み・意欲低下・焦燥感(焦り感)・不安感・憂鬱などの精神的な症状が多くみられます。

☆心の病で、体の病
 更年期障害は病院に行くと、「自律神経失調症」と診断されることが多く、精神安定剤などを処方されることも少なくありません。精神安定剤を処方されるという事は、「心の病気」としても良いのかもしれません。しかし、現れている症状は身体的な症状から引き起こる精神的な症状なのです。ですからまず現れている身体的症状からアプローチすることが根本治療になります。
 体に余裕ができると、心にも余裕ができます。
 しかし、精神的な症状が悪化し「死にたい」と考えるようになったら、心療内科を受診してください。

☆体と心の関係
 漢方鍼治療ではお体を「陰と陽」の2つに分けて考えます。
 更年期障害の根本は「冷えと熱の偏在」です。
 体の中で、「冷え」である「陰」と、「熱」である「陽」が混在している状態になります。
 「のぼせ」や「ほてり」は上半身に陽である熱が溜まった状態です。そして、陽が溢れると発汗して解熱するため、冷えである陰が押し寄せてきます。コレがホットフラッシュの根本です。
 上半身に熱がこもると焦燥感、不安感、憂鬱などの感情が増大します。             
「上半身に熱がこもる」と言う事は胸が充血すると言うことです。
 人体の中で熱がこもると言う事は、血液がそこに多く集まっていると言うことです。
 血液が胸に集まれば、心臓がドキドキし、呼吸が荒くなってしまい、肩・首・背中がゴリゴリになってしまいます。この時、感情的にはイライラ、モヤモヤし、焦燥感、不安感、憂鬱がどっと押し寄せてくるのです。
 また反対に、熱がこもった後に発汗し、胸の熱が一気に抜けると、胸が空っぽになり、気分の落ち込み、虚脱感、無力感が停滞し、繰り返すと意欲低下となります。
 体質によって、暑がりの方は胸に熱がこもる時間
が長く、寒がりの方は胸の熱が抜けている時間が長くなります。

☆漢方はり治療では
 更年期障害の根本は「のぼせ」です。のぼせる事により、血流の偏在が起きるのです。
 「上半身に熱がこもる」と言う事は上半身に充血が起きていると言うことです。
 血液が多く集まるところは熱くなり、血液が不足するところは冷えるのです。
 つまり血流の偏在を改善すると、すべての症状が落ち着くのです。
 治療は、血流が不足して冷えている部分を温めることから始めます。
 多くは手先、足先、下腹部、腰が冷えていますので、冷えている部分に血液を誘導し温めます。
 手足が温まると胸の充血がなくなるため、イライラ、モヤモヤ、不安感、憂鬱などが解消されます。
 また、気分の落ち込み、無力感、意欲低下の傾向にある方は、もともと血液自体の不足傾向なので、胃腸を整え、食欲を増やすツボも併用します。